研究課題/領域番号 |
21K09657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
川野 利明 大分大学, 医学部, 講師 (30633424)
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研究分担者 |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | インフルエンザウイルス / ワクチン / M2プロテイン / アジュバント / ヘマグルチニン / 経鼻投与 / 経鼻ワクチン / M2タンパク / 鼻腔投与型ワクチン / マトリックスプロテイン / 鼻腔投与 / 粘膜ワクチン |
研究開始時の研究の概要 |
現在使用されている季節型インフルエンザウイルスワクチンは接種株と流行株が一致すれば効果的だが、インフルエンザウイルスは常に抗原連続変異や不連続変異を起こすため次年の予測された流行株と接種株が一致したワクチンを作成することは非常に困難である。接種株と異なるウイルス株にも有効なクロスプロテクション作用を持ち、さらに効果が長期間持続するユニバーサルワクチンが求められている。ウイルスの外膜成分であるHA とM2イオンチャンネルの外部ドメインであるM2タンパクを用いて、新規アジュバントを付加させた鼻腔投与型ワクチンの有効性を評価するために感染防御効果の原因となる因子の分子生物学的検証を行う。
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研究実績の概要 |
濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)は体液性応答に関わるCD4陽性ヘルパーT細胞のサブセットであり、脾臓やリンパ節などの二次リンパ組織にみられる。Tfh細胞の役割は胚中心B細胞をメモリーB細胞に誘導することであり、ワクチン作成においては重要な標的細胞となりうる。本年度は経鼻投与型インフルエンザワクチンのTfhの動態についての詳細な検討を行った。 インフルエンザウイルスの外膜普遍成分であるマトリックス2 (M2) プロテインを用いた経鼻投与ワクチンを作成した。アジュバント (Ad) としてアルミニウムとCpG ODNを使用し、リコンビナントヘマグルチニン(rHA) とM2プロテインを用いて、Adを付加した経鼻投与インフルエンザワクチンを4 Groupのマウスに投与した(G1:rHA + Ad、G2:M2 + Ad、G3:rHA + M2 + Ad、G4:Adのみ)。ワクチンの有用性を判断するために、ワクチン接種株と異なる致死的ウイルスを投与した。フローサイトメトリー(FCM)を行ない、T細胞やB細胞の生体内動態を測定した。致死的インフルエンザウイルスを感染させた後のマウスの体重測定を行なったところ、7日後からG3群で特に早期の体重回復がみられた。ウイルス感染後の血清抗体価をELISA法で測定したところ、G3群で有意にIgGの強い誘導がみられた。脾臓のFCMではG3群において有意にCD19+ total B細胞とCD8+CD44+メモリーB細胞の強い誘導が起きていた。また濾胞性T細胞の詳細な解析を行なったところ、脾臓内でのG3群でのCD185highCD279+CD3+CD4+ Tfh細胞の増加を認めた。さらに詳細な検討ではCD183+CD196-CD185+CD3+CD4+ Th1型のTfh細胞が増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は概ね予定通りに進んでいるが、今後論文作成と英文校正、英文雑誌への掲載を予定している。実験のデータ解析に時間がかかっており、実験の進捗状況としては予定よりもやや遅れている状態である。急いでデータ解析を終わらせ、論文掲載を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
M2プロテインを用いた経鼻投与型インフルエンザウイルスワクチンの有効性の確認はでき、フローサイトメトリーやELISAを用いてワクチンの致死的ウイルスに対する免疫反応も確認できた。今後はデータ解析と論文作成を行っていく。
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