研究課題/領域番号 |
21K09658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
亀倉 隆太 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404697)
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研究分担者 |
一宮 慎吾 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30305221)
高野 賢一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70404689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Tph 細胞 / Tph2 細胞 / 濾胞外 B 細胞 / 老化関連 T 細胞 / IgG4 関連疾患 / Tph細胞 / 老化関連T細胞 / 濾胞外B細胞 / IgG4 / IgG4関連疾患 / 免疫老化 / PD-1 / CD4 T 細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴い免疫機能が低下する一方、がんや自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患は増加する。その背景には免疫老化と呼ばれる T 細胞の機能変容が関係している。加齢に伴い機能異常を伴う PD-1 陽性メモリー CD4 T 細胞が増加することから、IgG4 関連疾患などの免疫難病の病態の背景にこの老化細胞の蓄積が関与していると仮説を立てた。本研究では、加齢に伴い増加する PD-1 陽性メモリー CD4 T 細胞の機能を明らかにすることで、IgG4 関連疾患 (IgG4-RD) などの高齢者に多い慢性炎症性疾患の病態解明と新規治療法の開発、高齢者の免疫能の低下を補いワクチンの効果を高める新たなモダリティの開発に繋げたい。
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研究実績の概要 |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病因としてIgG4産生に関わる適応免疫系の機能異常が存在すると考えられているが、未だ病態の全容解明には至っていない。IgG4-RDの病変部位には多数のCD4陽性T細胞の浸潤が認められ、また一方で難治性免疫関連疾患の病態背景にエフェクターヘルパーCD4陽性T細胞が関与することから、我々はCD4陽性T細胞サブセットの一つである末梢ヘルパーT(Tph)細胞に注目してIgG4-RDの病態解析を行っている。Tph細胞は加齢に伴い血液中で増加することを我々は確認しており、老化関連T細胞の可能性がある。またIgG4-RDは高齢者に多い疾患であることから、T細胞老化がIgG4-RDの病態形成に関与している可能性が考えられる。今回我々はIgG4-RDにおけるTph細胞の機能的役割をさらに解析するために、CCR6とCXCR3のケモカインレセプターの発現に従ってTph細胞をTph1(CCR6-CXCR3+)、Tph2(CCR6-CXCR3-)、Tph17(CCR6+CXCR3-)細胞の3つのサブセットに分けて、IgG4-RDの病態形成における特定のサブセットの関与の有無について検討した。結果、IgG4-RD患者では健常者と比較して血液Tph2細胞の割合が増加していた。また血液Tph2細胞の割合と血清IgG4値、血清IgE値、罹患臓器数、血清可溶性 IL-2レセプター値との間に有意な正の相関関係を認めた。一方血液Tph2細胞の割合と濾胞外B細胞の割合との間には有意な正の相関関係を認めた。この結果から、Tph2細胞は濾胞外B細胞と相互関係を持つ可能性があると考えらえた。このようにIgG4-RDの病態形成においては、Tph2細胞が重要な役割を果たしている可能性があることから、今後も検討を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究成果からIgG4-RD患者では血液Tph2細胞が増加し、血液Tph2細胞の割合と各種臨床パラメーターや濾胞外B細胞の割合との間に有意な正の相関関係が存在するという、新しい知見を得ることができた。このことは、IgG4-RDの病態形成にTph2細胞が重要な役割を担っていることを示しており、研究課題にもあるT細胞老化に関連した慢性炎症性疾患の発症メカニズムの解明にとって大変重要な知見と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1. Tph細胞のトランスクリプトーム解析とパスウエイ解析:IgG4-RD患者群と健常者群の血液からTph2細胞(CD3+CD4+CXCR5-PD-1hi)をセルソーターで単離してトランスクリプトーム解析を行い、両群のTph2細胞の転写物の比較検討を行う。発現量に差のある候補分子に関してタンパクレベルでの発現量をフローサイトメトリーやELISA法などで検証する。さらに、パスウエイ解析により上位にあるサイトカインなどのエフェクター分子を抽出する。 2. 老化関連細胞としてのTph2細胞の表現型や機能の検討:IgG4-RD患者の末梢血または顎下腺の臨床検体からリンパ球を分離し、フローサイトメトリーでTph2細胞の向炎症性分子 (オステオポンチン、CCL1など) の発現解析を行う。対照として非IgG4-RD(顎下腺炎など)の顎下腺組織、扁桃組織、健常者血液中のTph2細胞を用いる。さらに、Tph2細胞と濾胞外B細胞との共培養の系で、濾胞外B細胞がTph2細胞の分化や活性化への関与、さらに Tph2細胞が濾胞外B細胞の機能に与える影響について検討したい。 3. 老化関連Tph細胞による慢性炎症性疾患の病態形成のメカニズムの検討(動物実験):IgG4-RDモデルマウス(LatY136F変異マウス)を用いたin vivoの系で、ヒト臨床検体での解析と同様に、病変部位のTph細胞が持つオステオポンチンなどの向炎症性分子の産生能、抗体産生誘導能、細胞傷害能がリンパ組織(脾臓、リンパ節)のTph細胞と比較して高いことが確認されれば、病変部位からTph細胞をセルソーターで単離した後、T細胞欠損免疫不全マウスに移入して各臓器にIgG4-RD類似の病変が形成されるかを観察する予定である。
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