研究課題/領域番号 |
21K09668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加瀬 諭 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374394)
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研究分担者 |
神田 敦宏 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (80342707)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | αBークリスタリン / ミュラー細胞 / アポトーシス / インターロイキン1ーβ / αBクリスタイン / GFAP / 糖尿病網膜症 / リン酸化 / VEGF / 網膜 / 増殖 |
研究開始時の研究の概要 |
増殖糖尿病網膜症(PDR)は成人の重大な視力障害の原因となり、その病態に線維血管性増殖組織の形成が関与している。血管内皮細胞とミュラー細胞はPDR増殖組織の重要な構成細胞である。αB-クリスタリンは熱ショックタンパクの1つで、血管新生因子である血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)の分子シャペロンであり、その分解制御に関与する。本研究ではin vitro、in vivoの系を用いて、αB-クリスタリンの発現とVEGF-A、細胞増殖、細胞移動の変化を解析する。本研究によりPDRの病態におけるミュラー細胞によるαB―クリスタリンを介する分子メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
ヒートショックプロテインの一種であるαB-クリスタリンは, 分子シャペロン効果を含む多面的な機能を有しているが, その一つとして炎症病態におけるアポトーシス抑制作用が知られている. 当研究室の既報にて 網膜グリアの一種であるミュラー細胞が線維血管膜形成に関与することを示しているが, その過程でαB-クリスタリンが作用しているかについて, 培養細胞, 糖尿病網膜症モデルラット, 増殖糖尿病網膜症(PDR)患者由来の線維血管膜検体を用いて検討を行なった. 本研究では、PDRで硝子体濃度が上昇する炎症性サイトカインであるIL-1β、TNFalphaに着目した。IL-1β投与により培養ミュラー細胞でのαB-クリスタリンの遺伝子発現および新規タンパク合成が減少することが確認された。加えて、TNFalphaではなく、IL-1β投与により、αBークリスタリンのセリン59残基のリン酸化に伴う細胞外分泌の抑制によって細胞内濃度が維持されていた. またこの経路にp38MAPK経路が関与していることも確認した。αBークリスタリンの遺伝子発現をsiRNAトランスフェクションにより抑制することにより、培養ミュラー細胞のアポトーシス細胞数の増加、切断されたカスパーゼ3の増加がみられた。ヒトPDR線維血管組織および糖尿病モデルであるSTD肥満ラットを用いた二重染色により、線維血管組織・網膜に浸潤するミュラー細胞にαBークリスタリンのセリン59リン酸化がみられた。αBークリスタリンのリン酸化に伴うアポトーシス抑制作用を介して, PDR病態での線維血管膜形成におけるαB-クリスタリンの関与が示唆された.
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