研究課題/領域番号 |
21K09671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
星 崇仁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10757892)
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研究分担者 |
森川 翔平 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10883978)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 粘弾性体 / 眼内タンポナーデ / 親水性材料 / 網膜剥離 |
研究開始時の研究の概要 |
網膜剥離に対する硝子体手術で用いるガスやシリコーンオイル等の疎水性眼内タンポナーデには、屈折異常による視機能低下、術後頭位制限に伴う患者QOLの低下、網膜毒性の問題がある。本研究では、新規に考案された、高分子間で動的な結合点を形成し、ブドウ糖添加により分解可能な粘弾性体(SLYM)を用いて、眼内注入後に自己修復して均一性を確保できる親水性眼内タンポナーデ物質の開発を行い、注入から分解までの安全性と網膜剥離治療における有用性を検証する。また今後の親水性眼内タンポナーデ開発の発展に資する、粘弾性体の眼内注入に必要な物性に関する調査を行う。
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研究実績の概要 |
【SLYMの親水性タンポナーデとしての有効性、安全性の検証】対照群のタンポナーデ物質を網膜剥離治療に用いた際の有効性、及び安全性に関する検討を行った。摘出豚眼に25G硝子体手術システムを用いて硝子体切除を実施し、網膜剥離を作製した。眼内を液空気置換して網膜を復位させた後、注射針を用いてSF6ガスおよび粘弾性物質を眼内に注入、充填した。豚眼を生理食塩水で満たしたビーカーに入れ、スターラーで一定時間攪拌した後、眼底観察を行なって網膜再剥離の有無を判定することで、眼内タンポナーデ効果を検証した。実験眼全てで網膜剥離を認めたことから、前年度の結果と合わせてSLYMによるタンポナーデは既存のタンポナーデ物質より優れている可能性が示唆された。 【網膜剥離動物モデルを用いたSLYM眼内タンポナーデの治療有効性・安全性評価】有色家兎に全身麻酔下で片眼に25G硝子体手術を実施し、意図的網膜剥離を作製する実験を行った。初回の手術で網膜剥離を作成した家兎眼に硝子体手術を行い、網膜を復位した後、液空気置換し、SLYMを注入した。術後、網膜剥離の拡大は認めず、SLYMは眼内タンポナーデとして有効である可能性が示唆された。 【SLYMを用いた生体への粘弾性体の注入性に関する検討】前年度構築した、注入圧に関する知見の収集のためのシリンジ圧測定装置を用いて、SLYMの注入圧を測定した。対照として既存の粘弾性物質を用い、注入圧は同等であり臨床的に許容できると判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験の実施が連年通り実施可能になり、予定通り行っている。
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今後の研究の推進方策 |
【SLYMの親水性タンポナーデとしての有効性、安全性の検証】 他の対照群(SF6ガス、既存の医療用粘弾性体)について眼内タンポナーデ効果を検証し、SLYMの効果と比較する。 【網膜剥離動物モデルを用いたSLYM眼内タンポナーデの治療有効性・安全性評価】 SLYMの眼内タンポナーデ効果について、さらに実験データを収集する。 【SLYMを用いた生体への粘弾性体の注入性に関する検討】 SLYMの注入性は臨床的に許容できることがわかった。今後、さらに、複数の粘性に設定したSLYM及びシリコーンオイル、、眼灌流液の注入に必要な圧力を測定する。
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