研究課題
基盤研究(C)
本研究は、①AQP9とMCTが協調するANLSによるRGC神経保護作用が緑内障モデルでも成立するか、②大脳皮質・海馬・視床神経において存在が示されているミトコンドリア乳酸酸化複合体がRGCにも装備されているか、③乳酸の経静脈投与ならびにcuricumin腹腔内投与が、網膜・視神経内の転写ならびに蛋白発現に如何なる影響を与えるか、④視神経挫滅や緑内障モデル網膜におけるミクログリア活性化にAMLSが関与しているか、⑤乳酸静脈投与ならびにcuricumin腹腔内投与がRGC保護的作用を有するか、を動物実験によって検証する。
マイクロビーズ前房内注入マウス高眼圧モデルにおいて、網膜神経節細胞(RGC)密度、RGCのアクアポリン9(AQP9)発現量、網膜のAQP9の総量を低下させるのみならず、網膜のAQP9免疫沈降物のモノカルボン酸輸送体(MCT)1量を低下させ、MCT2量を増加させていた。免疫沈降物のMCT4量は変わらなかった.高眼圧によりAQP9発現量そのものは減っていたので、AQP9に結合するMCT2は大幅に増量し、MCT4も増加していたと考えられた(Murai et al. 2023)。高眼圧を含むストレスに易反応性のAQP9発現低下を代償して、グリア細胞のMCT4とRGCのMCT2の発現は上昇し、RGCのエネルギー基質である乳酸輸送を維持する生体反応が生じている可能性を示したメタボローム解析により、網膜で最も高い発現量を示した代謝物はL-lactic acidであり、上記モデルにおいて、対照、高眼圧2週、4週群で変わらず高値を維持していた。階層化クラスター解析で、高眼圧期間の延長につれ、最も量が増加した代謝物がグルタミン酸(L-型glutamic acid)で、2番目に増加したものがグルコースであった(Arai-Okuda et al. 2024)。糖尿病のない、50歳以上の白内障患者と広義原発開放隅角緑内障(POAG)患者各64名の血清と房水の乳酸濃度を比較した。血清中も房水中も乳酸濃度は両群間に差はなかったが、房水中の濃度は血清に比し、両群とも8倍近く高かった。また、血清中も房水中も、乳酸濃度は、POAG群ではbody mass indexと有意な正の相関を示したが、白内障群でそのような相関はなかった(Arai-Okuda et al. 2024)。POAGではRGCのエネルギー基質である乳酸の輸送と代謝障害が生じている可能性があることを示した。
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M.Sci Rep. 2024 Feb 14
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