研究課題/領域番号 |
21K09690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
面高 宗子 東北大学, 大学病院, 助教 (80569583)
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研究分担者 |
岡田 眞里子 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10342833)
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
佐藤 孝太 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50732327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 緑内障 / 網膜神経節細胞 / 統合解析 / 脆弱性 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、多因子疾患である緑内障のシンプルな障害モデルを作成し、緑内障動物モデルにより、げっ歯類網膜神経節細胞(RGC)をセルソータでサイズ別に分取し、網羅的遺伝子発現解析とメタボローム解析の統合解析から、大小RGCの細胞死シグナルメカニズムを探索する。大型動物を用いた局在情報から候補シグナル伝達経路を絞り込み、ヒトサンプルによるゲノム・メタボローム解析データベースを参照する。 アデノ随伴ウイルスにより生体RGC内でシグナル経路の可視化やゲノム編集による標的遺伝子改変により候補シグナルのバリデーションを行い、詳細な分子基盤を同定し、薬剤の分子ターゲットを絞り込み、薬剤開発に繋げる。
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研究実績の概要 |
緑内障は成人途失明原因第一位の眼疾患で、本邦は世界に類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、今後も緑内障による失明患者数の増加が確実視されている。緑内障の本態は網膜神経節細胞(RGC)の細胞死であるが、現行の治療は眼圧を下降させる治療のみでありアンメットメディカルニーズが存在する。RGC死の詳細なメカニズムを明らかにして、治療薬の開発に繋げていく必要がある。これまでも、げっ歯類を用いた創薬研究は90%以上開発段階で中止となっており、ヒト緑内障の病態を意識した開発が不可欠となる。緑内障では太い軸索を有する大きなRGCが早期から障害され、小さなRGCはミトコンドリア障害に脆弱であることが知られている。本研究では多因子疾患である緑内障のシンプルな障害モデルを作成し、基礎研究技術の進歩を駆使し、緑内障動物モデルにより、げっ歯類RGCをセルソータでサイズ別に分取し、網羅的遺伝子発現解析とメタボローム解析の統合解析から、大小RGCの細胞死シグナルメカニズムを探索する。 「動物モデルから統合解析によるプロファイルデータ取得にむけて」マウス障害モデルについて、軸索挫滅・眼圧上昇・酸化ストレス障害モデルに対し、上丘からフルオロゴールド逆行性染色、およびフラットマウントRBPMS抗体免疫染色法により、障害モデルにおける継時的な細胞数の評価を行い、障害モデルの作成を行った。それぞれの障害モデルにおいて、細胞数の変化を調べ、サンプル回収に適した時期の同定を行った。続いて、マウス網膜から神経細胞を単離し、網膜神経節細胞をラベルし、セルソータによるRGCの細胞サイズによるカウントを行った。障害後の複数のタイムポイントで、生存するRGCをサイズ別に検討し、障害の種類により、RGCの大小で脆弱性が異なることを検討した。さらに、細胞の大小における主要な細胞死シグナル伝達経路を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
適切な障害モデルとタイミングの系の立ち上げ、細胞の大小における主要な細胞死シグナル伝達経路の同定、および候補シグナル伝達経路の中で、ターゲット分子の絞り込みに遅れがある。 これらを検証する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
「動物モデルから統合解析によるプロファイルデータ取得」:適切な障害モデルとタイミングの系の立ち上げ、細胞の大小における主要な細胞死シグナル伝達経路の同定、および候補シグナル伝達経路の中で、ターゲット分子の絞り込み、RNAシークエンス、およびメタボローム解析を外注にて行う。その後、統合解析を行い、細胞の大小における、主要な細胞死シグナル伝達経路の同定を進める。 「ターゲット分子基盤の同定とバリデーション」:候補シグナル伝達経路の中で、ターゲット分子を絞り込み、AAVにより過剰発現、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集による標的遺伝子改変のコンストラクトを準備する。また、候補シグナルが障害時に、眼内で活性化していることを確認するために、In vivo imaging可能なAAVをキャリアとするコンストラクトを作成する。げっ歯類の眼内にウイルスベクターを投与し、1M後に障害を誘導、候補シグナルのバリデーションを行う。同時に、大型動物のAAVによる遺伝子操作プラットフォームを確立する。最終的には共焦点走査型ダイオードレーザ検眼鏡(SLO)により、候補シグナル伝達経路が障害時に活性化し、阻害薬による抑制、更に細胞死への影響を、同一動物の生体眼を用いてバリデーションを行い観察する。
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