研究課題/領域番号 |
21K09709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
内尾 英一 福岡大学, 医学部, 教授 (70232840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アデノウイルス / 結膜炎 / 抗ウイルス薬 / レセプター / 感染症 / 初期転写因子 / 系統解析 / ウイルス性結膜炎 / ゲノム解析 / 増殖速度 |
研究開始時の研究の概要 |
アデノウイルスは,流行性角結膜炎及び咽頭結膜熱などのウイルス性結膜炎を生じるが,眼科領域以外にも呼吸器系の上気道炎を生じ,重症肺炎の原因ともなり,死亡例もあるため臨床的に重要である。わが国では感染症サーベイランスによって,アデノウイルス結膜炎患者数が毎年100万人前後にのぼる。多数の感染症例を毎年全国で生じることから,臨床的及び公衆衛生学的にも,対策が必要であるが,現在までアデノウイルスに対する特異的抗ウイルス治療薬は十分に確立されていない。そこで,本研究ではウイルス薬の抗アデノウイルス作用の解析,新型アデノウイルスの増殖性の特徴の解析とアデノウイルス実験系の細胞生物学的解析を行う計画である。
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研究成果の概要 |
眼、呼吸器、胃腸、泌尿器および全身の感染症を引き起こす16 種類のヒトアデノウイルス(HAdV)に対するポリビニルアルコールヨウ素(PAI)の抗ウイルス効果の検討を行った。PAIに各HAdVウイルス原液10 μL に曝露させた。抗ウイルス効果は、7~10日目に陽性対照と比較して算出した。PAI は、感染後7~10 日目の時点では,10 秒間の作用であっても、すべての HAdV タイプの全曝露時間で、抗ウイルス効果に関する EN-14476 基準 (> 99.99%) を満たした。この薬剤は流行性角結膜炎の蔓延を防ぐ重要な手段となる可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究計画によって,第一には環境変化によって出現し,現在国内で流行を繰り返している新型アデノウイルスに対して,抗ウイルス薬の作用を解析して,新型に対する治療薬の有効性が薬理学的に検討された。第二には角膜の3D細胞実験モデルを用いて,新型アデノウイルス型と既存の結膜炎を生じない型との間の病原性の経時的な差異を観察した。第三にはわが国の結膜炎流行に大きく関与しているD種とその中の新型のウイルス学的特性を感染早期に出現する初期転写因子の遺伝子量の解析から結膜親和性と増殖速度の相関を解明した。これら総合的な研究を通して,治療薬がヒトへの治験を経て臨床応用が可能になる方向性が示されたと考えられる。
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