研究課題/領域番号 |
21K09713
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
田端 希多子 岩手大学, 理工学部, 特任准教授 (80714576)
|
研究分担者 |
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
菅野 江里子 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70375210)
尾崎 拓 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70621069)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 眼生理学 / 遺伝子治療 / 網膜変性症 / 網膜色素変性症 |
研究開始時の研究の概要 |
緑藻類の一部は光合成を効率的に行うために光を求めて移動することが知られている。この光感受性物質がチャネルロドプシンであり、当研究室では、これを基に遺伝的な操作を加え、より多くの色を感知できるmVChR1を開発した。失明に至った網膜の網膜神経節細胞にmVChR1を発現させることで視機能を回復できる可能性がある。しかしながら、チャネルロドプシンの光受容に重要な役割を担うレチナールの必要量や供給源は研究されていない。本研究では、その仕組みを解明することを目的とし、その仕組みを明らかにすることで、遺伝子治療によって得られる視機能をより向上させることができると考えられる。
|
研究実績の概要 |
視細胞変性ラット網膜についてRNA-seqを用いた発現遺伝子の網羅的解析を行った。生来のロドプシンを持たないことから、ロドプシンにレチナール(RAL)を供給する代謝経路は使われないことが予測されたが、当研究室において開発したチャネルロドプシン(ChR)を発現させたラットと無処置ラットとを比較したところ、下記のRAL代謝経路に関わる遺伝子が増加していた。RDH10(レチノールデヒドロゲナーゼ10:オールトランスレチノール(atROL)をatRALに変換), LRAT(レチノールエステル化酵素:ROLをレチニルエステル(RE)に変換), STRA6(レチノール結合タンパク(RBP)受容体:膜に存在、細胞内へのROL取り込み), TTR(トランスサイレチン:RBPの血中輸送), RGR(atRALを11シス-レチナール(11cRAL)に変換)。また、RDH5(レチノールデヒドロゲナーゼ5:11cROLを11cRALに変換), RPE65(レチノイドイソメロヒドロラーゼ:atREを11cROLに変換)も増加傾向を示した。以上は網膜色素上皮細胞(RPE)に発現しているものが多く、RDH10およびRGRはミュラー細胞にも発現している。レチノイド結合タンパク質においてはCRALBP(細胞内RBP:11cレチノイドの輸送)およびCRBP(細胞内RBP:atROLの輸送)で増加傾向がみられ、中でもCRALBPはミュラー細胞に多く発現していることが知られている。これらのことから、血液中からRPEへ、さらにミュラー細胞を経て、視神経節細胞に発現しているChRまでRALが供給されている可能性が示唆された。 これらの一部に関して網膜の免疫染色を行ったが、いずれにおいても顕著な変化は認められなかった。RNA-seq結果からも免疫染色で差が確認できるほどの違いではなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seqを用いた発現遺伝子の網羅的解析では、オプトジェネティクス遺伝子導入動物において、レチナール代謝経路関連遺伝子に増加傾向がみられた。網膜ビタミンA量測定、網膜の免疫染色を実施したが、有意な差は認められなかった。今後一部計画を変更し、ELISAなどの高感度アッセイにより明らかにしていく予定である。 おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はオプトジェネティクス遺伝子導入動物にRNA-seqで増加およびその傾向を示した遺伝子含め、ビタミンA代謝経路関連酵素群の測定を行う予定である。昨年度、免疫染色での細胞内局在については顕著な差がみられなかったため、ウエスタンブロッティング、ELISAなどの測定を行う予定である。
|