研究課題/領域番号 |
21K09715
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉山 和久 金沢大学, 医学系, 教授 (80179168)
|
研究分担者 |
東出 朋巳 金沢大学, 附属病院, 講師 (20291370)
米田 隆 金沢大学, 融合科学系, 教授 (60313649)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 正常眼圧緑内障 / アルドステロン / 視神経乳頭血流 / 網膜神経節細胞 / 網膜神経線維層欠損 / 緑内障 / 原発性アルドステロン症 / 網膜血流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、臨床研究において原発性アルドステロン症眼の機能的構造的特徴について正常および緑内障眼との比較を行う。また基礎研究ではラット動物モデルにてアルドステロン全身投与及びその拮抗薬投与による網膜神経節細胞数、視神経乳頭血流、酸化ストレスなどに及す影響を検討する。作業仮説を、「眼圧非依存性の網膜神経節細胞死の機序が、原発性アルドステロン症と正常眼圧緑内障で一部共有し、アルドステロン拮抗薬は正常眼圧緑内障の新しい神経保護薬となり得る」として、本研究ではこの仮説の可能性を探究する。
|
研究実績の概要 |
アルドステロンは多臓器障害をもたらすことが知られており、その要因は慢性的な虚血によるものと考えられている。一方、網膜、視神経の血流動態の変化は正常眼圧緑内障の進行の一因として注目されている。 近年、アルドステロンを全身投与したラット動物実験において、眼圧上昇を伴わずに進行性の網膜神経線維層の菲薄化と網膜神経節細胞死が生じ、拮抗薬の投与により網膜神経節細胞障害が軽減されたという報告がなされた。そこで我々も同ラットモデルを作成し、血圧、脈拍、眼圧、眼灌流圧、血中アルドステロン濃度、視神経乳頭血流、網膜神経節細胞数に変化がないかを確認する為の実験を行った。その結果、血中アルドステロン濃度は上昇したが眼圧、血圧、眼灌流圧に変化はなかった。しかし、視神経乳頭血流速度は低下し網膜神経節細胞数は減少することを今回の研究で明らかにした。つまり、アルドステロン全身投与により眼圧及び眼還流圧に依存しない網膜神経節細胞減少と眼血流速度の低下を確認した。 また臨床研究においては原発性アルドステロン症眼の構造的特徴について正常および緑内障眼との比較を行った。原発性アルドステロン症眼群と、年齢性別を調整し抽出された対照眼群において眼底写真での網膜神経線維層欠損の出現頻度は原発性アルドステロン症群に有意に多く、血管周囲からの網膜神経線維層欠損が原発性アルドステロン症群に有意に多いという構造的特徴を我々は確認した。つまり眼圧非依存性の網膜神経節細胞死の機序が、原発性アルドステロン症と正常眼圧緑内障で一部共有している可能性を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に計画は進行している。基礎研究の令和3年度計画にて、アルドステロン全身投与ラットモデルによって眼圧及び血圧に変化がないにも関わらず、視神経乳頭血流は低下し網膜神経節細胞数は減少することを明らかにした(Current Eye Research. 2022 にて論文化)。更に令和4年度は病因機序を解明する為にラットにおける光干渉断層計(OCT)、酸化ストレスマーカー(ROS)の測定の予備実験を行った。これらの準備を元に令和5年度は本実験を開始し、現在順調に推移している。 臨床研究においては原発性アルドステロン症群のデータ収集を令和4年度に行った。現在73症例184眼のデータを収集出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
次の研究計画としては、アルドステロン全身投与ラットにおける光干渉断層計(OCT)、酸化ストレスマーカー(ROS)の測定を行い、コントロール群との比較実験を現在遂行中である。この実験の終了次第、次にミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の投与を行い、視神経乳頭血流低下及び網膜神経節細胞数減少を保護出来るのかを検討する。これらにより更なる病因機序を解明していく予定である。 また令和4、5年度予定である臨床研究においては原発性アルドステロン症、正常ボランティア群のデータ収集を令和4年度行った。引き続き令和5年度もデータ収集を行いつつ解析まで進めていく。
|