研究課題
基盤研究(C)
フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は加齢とともに両眼の角膜内皮機能障害をきたす疾患であり、全世界の角膜移植例の39%の原因である重要な疾患である。本研究においては現在までのところ詳細不明である発症原因やリスク因子を解明することを目的として研究を行う。
FECD患者のTCF4遺伝子リピート伸長と表現形の関連についての解析を行った。対象は大阪大学医学部附属病院眼科にてFECDと診断された75例150眼。末梢血由来DNAに関してPCR法・triplet repeat primed PCR法とそれらの産物に関するフラグメント解析により、TCF4遺伝子第3イントロンにおけるCTGリピート数解析を行った。表現型に関してはシャインプルーク型カメラ(Pentacam HR, Oculus)によるデンシトメトリー値、前眼部光干渉断層計(AS-OCT)による前眼部形状解析を行い、CTGリピートが50以上に伸長している伸長群と伸長していない非伸長群で比較した。平均年齢66.8±13.0歳、modified Krachmer分類は1:2:3:4:5:6=7:32:28:51:6:18眼で、CTGリピート伸長は21%(16/75例)に見られた。混合モデルを用いて年齢、性別、移植歴、modifided krachmer分類による重症度、デンシトメトリー値、前房深度度、隅角開大度を伸長群と非伸長の間で比較したところ、両群間に有意差は認めなかった。中心角膜厚は伸長群において大きかったが、年齢、リピート伸長、デンシトメトリー値を説明変数とした重回帰分析では有意差は認めなかった。よって、FECD患者においてTCF4遺伝子のCTGリピート伸長の有無で角膜後方散乱値には差がないと考えられた。さらにFECD患者の白血球と角膜内皮細胞におけるCTGリピート伸長の違いの解析を行うために、手術時に摘出された患者角膜内皮細胞の集積を進め、疫学調査のための症例集積をすすめた。
2: おおむね順調に進展している
FECD患者のリピート伸長と角膜表現型の相関解析については、解析を完了した。
3年計画の最終年度となる今年度において、FECD患者の白血球と角膜内皮細胞におけるTCF4遺伝子のCTGリピート伸長の違いや疫学調査を進める予定である。
すべて 2023 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Ophthalmology
巻: in press 号: 6 ページ: 608-614
10.1016/j.ophtha.2023.01.016
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol .
巻: 261 号: 3 ページ: 761-767
10.1007/s00417-022-05847-8
Am J Ophthalmol .
巻: 243 ページ: 55-65
10.1016/j.ajo.2022.07.002
Japanese Journal of Ophthalmology
巻: 66 号: 4 ページ: 358-364
10.1007/s10384-022-00914-3
日本眼科学会雑誌
巻: 126 ページ: 388-394
巻: 126 ページ: 43-51
Pharma Medica
巻: 39 号: 12 ページ: 41-44
10.34449/J0001.39.12_0041-0044
臨床眼科
巻: 75 号: 11 ページ: 119-124
10.11477/mf.1410214158
巻: 75 号: 10 ページ: 1287-1292
10.11477/mf.1410214114
Eye & Contact Lens
巻: 48 号: 2 ページ: 63-68
10.1097/icl.0000000000000870
巻: 125 ページ: 605-629