研究課題/領域番号 |
21K09721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
細谷 修 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (90304310)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | トポイソメラーゼIIβ / 網膜 / 視細胞 / メダカ / Tet-ON / CRISPR/Cas9 / Cre/loxP / 網膜疾患 / 網膜変性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
任意の時期に桿体視細胞限定的にトポイソメラーゼIIβ (TopIIβ) 遺伝子破壊を誘起できる新規トランスジェニック・メダカ系統を作出し, 成熟期以降の視細胞および網膜視機能における TopIIβ が果たす役割を明らかにするとともに, 網膜変性の発症やその病態への関与の可能性を検証する. そのために, 研究の初年度は遺伝子改変用ベクターの構築と薬剤誘導型 TopIIβ 遺伝子ノックアウト系統の作出を, 次年度は TopIIβ 遺伝子破壊後の網膜を用いた表現型解析を, 最終年度は TopIIβ 遺伝子破壊後の網膜を用いた遺伝子発現解析を計画している.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、小型硬骨魚類メダカの桿体視細胞(桿体)を解析モデルに、成熟期以降の桿体及び網膜視機能におけるトポイソメラーゼIIβ(TopoIIβ)が果たす役割を明らかにし、網膜変性疾患の発症やその病態への関与の可能性を検証することである。令和3年度は、終末分化後の任意の時期に桿体特異的にTopoIIβ遺伝子の機能阻害を誘起するトランスジェニック(Tg)メダカ系統の作出を行い、抗生物質ドキシサイクリン(Dox)の添加でメダカ桿体特異的に任意の時期に任意の導入遺伝子の発現制御を可能にする新しい遺伝子発現調節システム(Tet-ON/rtTAm)の開発に成功し、論文、学会で発表した。続いて、Tet-ON/rtTAmとゲノム編集技術を用いてTgメダカを2系統(Tg(U6-TopoIIβ-gRNA):RNA pol III系プロモーター制御下に全身性にゲノム上のTopoIIβ遺伝子の特定DNA配列を標的とするガイドRNAを発現する系統とTg(Rho-Cas9):ロドプシンプロモーター制御下にDox添加時に桿体特異的にCas9を発現する系統)を作出し、これらの交配でTopoIIβ遺伝子の機能解析の為の条件付きノックアウト(cKO)系統 Tg(U6-TopoIIβ-gRNA;Rho-Cas9) の作出を試みたが、当初想定した遺伝子破壊を誘起できなかった。その為、令和4~5年度にかけてTet-ON/rtTAmとCre/loxP 部位特異的DNA組換えシステムを用いて、時期および細胞種特異的にTopoIIβ遺伝子の完全破壊を可能にする、新たなcKOメダカ系統 Tg(TopoIIβ flox/flox; Rho-Cre) の作出に取り組んだ。令和6年度は、作出に成功した Tg(TopoIIβ flox/flox; Rho-Cre) メダカを用いてTopoIIβの機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
TopoIIβの機能解析のためのTgメダカ作出において基盤技術となる新規遺伝子発現調節システム(Tet-ON/rtTAm)の開発と、引き続くTet-ON/rtTAmとCRISPR/Cas9システムを併用したTopoIIβ遺伝子cKOメダカ系統 Tg(U6-TopoIIβ-gRNA;Rho-Cas9) の作出までは計画通りに遂行することができた。しかし、作出した Tg(U6-TopoIIβ-gRNA;Rho-Cas9) メダカを用いて標的遺伝子の改変誘導を試みたところ、標的塩基配列部位への挿入・欠失(indel)形成効率が悪く、標的遺伝子の発現あるいは機能を十分に抑制出来ないことが判明した。そのため、当初令和3年度後期から令和4年度前期頃に開始を予定していた標的遺伝子破壊後の表現型解析実験を先送りにし、新たな解析モデルの作出実験を追加で実施した。標的遺伝子を高効率で且つ両アリル破壊することができる新規のcKOメダカ系統 Tg(TopoIIβ flox/flox; Rho-Cre) の作出を終えることができたが、そのために令和5年後期まで時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
解析モデル Tg(TopoIIβ flox/flox; Rho-Cre) の作出に想定外に時間を要したため、残りの期間で当初予定していた解析の全てを行うことは困難となった。そのためR6年度は、仮説検証を行うにあたって必要不可欠となる基礎的データの収集に注力する。具体的には、組織化学的手法を用いた TopoIIβ cKO によって網膜構成細胞に起こる形態学的変化の解析と、RNA-seq を用いた TopoIIβ cKOによって網膜構成細胞に起こる遺伝子発現変化の解析を実施して、当初予測した仮説の検証を行うとともに、今後の研究方針の決定とさらなる研究推進のための礎を築きたいと考えている。
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