研究課題/領域番号 |
21K09722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高 知愛 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (70314797)
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研究分担者 |
木内 良明 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40214738)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 眼細胞生物学 / 網膜神経節細胞 / 神経保護薬 / 視神経疾患 / 中枢神経因子 |
研究開始時の研究の概要 |
視力障害に関わる視神経障害の病態解明、治療薬開発の為、網膜神経節細胞死に関する研究、特に、視神経を中枢神経との関連、影響を調べることにする。 生体内で直接網膜神経節細胞(軸索)と繋がっている主なターゲット中脳(上丘)との共培養を試み、中脳からどの様なシグナルが網膜神経節細胞生存に関わっているのかを解析すると共に、神経保護に有効な因子を同定する。 今回の申請では私たちの研究グループで確立させたコラーゲンビトリ膜、Millipore Insert などを用いた共培養系をさらに応用し、最も in vivoに近い培養系を用い、眼球運動を司る神経細胞保護作用の機能を果たす因子を同定する。
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研究実績の概要 |
本研究は視力及び、視覚障害に関わる疾患(視神経炎、緑内障)に対する神経保護に有効な治療薬を開発する究極な目的を達成するために、網膜内の神経細胞(網膜神経節細胞)と中脳(上丘)との間に行われている様々なシグナルを明らかにしようとする研究であります。またさらに、中脳だけではなく、網膜内の神経節細胞とその周囲で一番神経節細胞と密接な関係であるグリア細胞との相互作用も調べ、神経細胞保護に関連するメカニズムも明らかにしようとする研究でもあります。 その結果として、前年度までに、異なる細胞同士での共培養システムを様々な方法で試し、神経節細胞と異なる周囲組織、細胞との共培養法を確立させることができました。その方法を用いて、先ず、網膜神経節細胞と中脳(上丘)組織との共培養を行い、中脳から分泌される中脳アストロサイト由来神経栄養因子(MANF)がそのシグナルである可能性とその解析を行い、その結果を論文として発表しました。 その後、さらに、神経節細胞とグリア細胞との共培養系を確立させて、グリア細胞からの神経保護に関連する因子を突き止める為に、Multi Array法を行い、その結果、NGF, IGFBP-5, VEGFの三つの因子が同定されました。現在、この中で、NGFに関しての研究が進められています。今後は、さらに、他のIGFBP-5, VEGFに関しても同様にそのメカニズムの解析を進めていき、前年度に報告したMANFを含めて、これらの因子がどのように網膜神経節細胞の保護に影響を与えているのかを解析を進めていこうと思ってます。その結果、更なる新しい治療薬の開発への基盤を提供出来る様になるのではと期待していいます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は現在までおおむね順調に達成できていると考えられます。 その根拠としては、申請初年度に研究計画としては一番難問でもあった、異なる細胞、組織との共培養システムが順調に確立させることができた点を挙げられます。またそのシステムの利点(pore membraneを使用出来ること)を生かすことで、異なる細胞同士間を行き来する因子を突き止めることが出来た点もその成果であると思います。 その結果を既に様々な学会発表や論文などで報告も行なっており、この様な培養条件は今後もっと複雑な生体内に近い環境での共培養ができると考えています。従って、この研究は当初の計画通りに進行できていると考えられます。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進み方としては、まず、今まで得られた結果を元にさらに共培養系を工夫、応用し、網膜神経節細胞とグリア細胞などを含む網膜内の様々な他の細胞との共培養系をより生体内での環境に近い培養系を確立させて、in vitroでの網膜神経の構築モデルを作り上げたいと考えています。そうすることにより、様々な疾患、病態に対するメカニズムの解明がより一層進んでいくのではないか思っています。そうすることによって、この研究の本来の目的である神経保護に作用する治療薬開発に貢献したいと考えています。さらに、今までの研究で明らかになってきた中脳からの神経保護因子とグリア細胞などからの神経保護因子との関連、共通のメカニズムも明らかにできる研究方針で進めていきたいと考えています。
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