研究課題/領域番号 |
21K09728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
成松 明知 東京医科大学, 医学部, 講師 (20617625)
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研究期間 (年度) |
2024-01-17 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 角膜 / リンパ管新生 / 創傷治癒 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、今までの研究で、リンパ管が細菌性角膜炎の炎症の消退に関与している可能性を報告しており、さらに急性浮腫によるリンパ管新生の形態が、炎症により進展したリンパ管と異なる形態をしていることを確認した。そこで、本研究では、炎症によるリンパ管(炎症型リンパ管)と急性浮腫によるリンパ管(浮腫型リンパ管)が異なる機序で新生し、浮腫型リンパ管は角膜における浮腫や免疫細胞、さらには病原体などを排出させる機能を持つと仮説を立てて、浮腫型リンパ管の役割を検証し、その機序を明らかにすることに絞って研究を進めていく。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、炎症を消退する方向に働く角膜リンパ管のメカニズムを明らかにすることで瘢痕性角膜混濁を予防する新規治療法を開発することである。本研究では、マウスモデルにおけるリンパ管新生の異なる役割に関しての機序を解明し、リンパ管を誘導することで角膜混濁を軽減する最適な方法についても検討していく予定である。 まず我々は、34ゲージ注射針を用いることにより角膜の障害を最小限にしつつ、浮腫を作ることでマウス角膜に血管新生および角膜混濁を伴わないリンパ管新生を起こすことに成功した(リンパ管新生モデル)。さらに、この角膜リンパ管新生モデルを用いて、リンパ管が感染性角膜炎に対してどのような影響を及ぼすのかを検討した。このリンパ管新生群と無処置のマウス(対照群)に対して角膜上皮擦過後、緑膿菌(PAO-1株)の菌液(1.0×105 CFU)を点眼し、細菌性角膜炎モデルを作成した。角膜混濁の程度は既報の臨床スコアを用いて感染2日後と7日後に評価した。感染7日後に免疫染色を実施し、リンパ管(抗LYVE-1抗体)および血管(抗CD31抗体)の面積比を比較検討した。その結果、臨床スコアは感染2日後には両群間に有意差はみられなかったが、7日後では対照群と比較してリンパ管新生群では有意に改善していた。また、対照群と比較してリンパ管新生群では血管新生が有意に抑制されており、特にリンパ管新生が先行して生じた部分では抑制が顕著であった。以上の結果より、予めリンパ管新生を生じさせた角膜における緑膿菌感染では、先行した角膜リンパ管新生が血管新生の伸展を抑制することによって炎症が軽減し、結果的に角膜混濁を抑制した可能性がある。今後は、縫合糸による炎症モデル、角膜移植モデルにおいても検討していく予定である。
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