研究課題/領域番号 |
21K09744
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
福田 憲 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (70335751)
|
研究分担者 |
松崎 茂展 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (00190439)
石田 わか 高知大学, 医学部, 特任助教 (40761705)
岸本 達真 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60783751)
鈴木 崇 東邦大学, 医学部, 准教授(寄付講座) (70398048)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 黄色ブドウ球菌 / 角膜炎 / phenol-soluble modulin α / IL-36 / ブドウ球菌 / psm-α / アラーミン / DAMPs / 感染症 / 眼内炎 |
研究開始時の研究の概要 |
今日眼科領域で広くみられるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の強毒化の原因を解明するために、psm-α毒素を産生する菌と産生しない菌を用いて、眼組織の細胞への毒性や惹起する炎症の差違を検討すると共に、動物モデルにより眼の機能への影響を検討する。 さらに、新しい治療法を開発するために、細菌を溶解するウイルス、バクテリオファージを用いて病原性増強型MRSAによる眼感染症に対して治療効果を検討する。
|
研究実績の概要 |
昨年度の研究において、黄色ブドウ球菌のpsmα産生株(Newman株)とpsmα欠失株(Δpsm α株)の細菌培養上清をマウス角膜に点眼すると、psmα産生株の培養上清はΔpsmα株の培養上清と比し、有意に角膜上皮創傷治癒の遅延と好中球浸潤を増加させること、またこれらの作用が、IL-36受容体アンタゴニストで抑制されることよりIL-36依存性であることを示した。 本年度はさらにアラーミンのひとつであるIL-1αに着目し、IL-1受容体アンタゴニストを点眼してIL-1αの役割を検討した。psmα産生株の培養上清による角膜炎はIL-1受容体アンタゴニストを点眼しても、IL-36受容体アンタゴニストとは異なり、角膜上皮創傷治癒と好中球浸潤については有意な変化は生じなかった。したがって黄色ブドウ球菌psmα産生株の培養上清による角膜炎はIL-36依存性で、IL-1非依存性と考えられた。 さらに、psmα産生株およびpsmα欠失株をマウス角膜に感染させてその差異を検討した。その結果、psmα産生株およびpsmα欠失株は角膜に感染した細菌数には有意な差を認めなかった。しかしながらpsmα産生株はpsmα欠失株および非感染群に比して、有意に角膜上皮創傷治癒の遅延を生じさせ、好中球浸潤を増加させた。最後にpsmα産生株を角膜に感染させたマウスにIL-36受容体アンタゴニストを点眼すると好中球浸潤を有意に抑制した。 これらの結果より、黄色ブドウ球菌毒素psmαは、角膜への菌の接着・増殖には関与しないが、角膜構成細胞を傷害し放出されたアラーミンであるIL-36依存性に角膜上皮創傷治癒の遅延および炎症反応の惹起を引き起こすことが示唆された。
|