研究課題/領域番号 |
21K09750
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
黒坂 大次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20215099)
|
研究分担者 |
橋爪 公平 岩手医科大学, 医学部, 特任准教授 (50407095)
木澤 純也 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40433487)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 水晶体上皮細胞 / 細胞内シグナル伝達 / 上皮間葉系転換 |
研究開始時の研究の概要 |
前嚢下白内障や白内障術後の線維性混濁は、水晶体上皮細胞が上皮間葉系移行(EMT)により生じる。この主因は、TGF-βであり、細胞内シグナル伝達系として、SMADや非SMAD系のRho/Rock/MRTF系が重要な働きをする。腎臓尿細管上皮細胞などでEMTが生じる場合は、この過程にHippo-YAP/TAZシグナル伝達系が関与し、SMAD系やRho/Rock/MRTF系とクロストークが行われることが明らかになった。本研究では、前嚢下白内障を誘発できるマウスモデルと株化されたヒト水晶体上皮細胞を用いて、EMTでのHippo-YAP/TAZシグナル伝達系の役割を検討する。
|
研究実績の概要 |
1.TGF-βによって惹起されるEMTにおいてYAP/TAZが関与するかの検討 昨年度TGF-βはATCCより入手した人水晶体上皮細胞(HLE-B3)に対してRho/Rock/MRTF系を介してα平滑筋線維アクチン(α-SMA)の発現とI型コラーゲン産生を上昇させることを確認した。この結果をもとに、TGF-βがYAP/TAZを発現誘導させることを定量的PCRとウエスタンブロットにより解析した。発現誘導すると思われたが、この結果が不安定であったため、別の細胞株SRA 01/04を用いて、確認を行った。同様の手技用いて検討した結果、TGF-βによってYAP/TAZの発現誘導が観察された。両細胞ともほぼ同様の結果であったことから、水晶体上皮細胞のTGF-βによって惹起されるEMTにおいてはYAP/TAZが関与することが示唆された。 2. TGF-βによって惹起されるEMTにおいてFGF-2が関与するかの検討 HLE-B3とSRA 01/04の2つの細胞株を用いて、TGF-βによるα-SMAの発現を上昇に対する、FGF-2の効果を検討した。両細胞ともに、TGF-βによるα-SMAの発現を濃度依存性に上昇させた。一方、FGF-2は、両細胞ともに、α-SMAの発現を濃度依存性に減少させた。TGF-βとFGF-2を同時に投与すると、それぞれの濃度に応じて促進的や抑制的に働くことが確認された。両者は、それぞれ別々の細胞内シグナル伝達系をたどると思われるが、両者の関わる接点の候補はまだ見いだせていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいるが、FGF-2の検討を加えたので、その成果も期限内に出し追加したい
|
今後の研究の推進方策 |
1. TGF-βによって惹起されるEMTにおいてYAP/TAZが関与するかの検討 HLE-B3とSRA 01/04の2つの細胞株を用いて、TGF-βによって惹起されるEMTにYAP/TAZが関与することが示されたが、本年度は、これらの阻害剤を用いて、α-SMAの発現に対する影響を検討したい。 2. TGF-βによって惹起されるEMTにおいてFGF-2が関与するかの検討 HLE-B3とSRA 01/04の2つの細胞株を用いて、TGF-βによるα-SMAの発現を上昇に対する、FGF-2の効果を検討し、抑制的に働くことを確認したので、これに関わる細胞内シグナル伝達系を探索したい。主要な経路の阻害剤を用いて影響があるかを観察したい。 3. 上記の結果が出たところで、論文作成を行いたい。
|