研究課題/領域番号 |
21K09767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
妹尾 貴矢 岡山大学, 大学病院, 助教 (90509465)
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研究分担者 |
駒越 翔 岡山大学, 大学病院, 医員 (00896532)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 頭蓋形態 / 定量的形態評価 / 小児 / 頭蓋形態計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では未だ不明確な頭蓋形態の定量的評価法として、CTおよびMRIの画像診断データを用いたシンプルな計測法を確立し計測向上のためのプログラム開発を行うことを第一に、続いて研究施設に蓄積された診療データから、正常頭蓋形態を抽出し計測することで、基準となる日本人小児の標準頭蓋形態を各年齢別に明らかにする。最終的に頭蓋形成治療における臨床応用にて、治療法の改良、治療成績の向上を図る。
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研究実績の概要 |
当施設にて撮影された小児を対象とした頭部CT及び頭部MRI画像を検索し、小児の正常頭蓋群として、成長障害を及ぼす全身疾患および頭蓋内腫瘍、発達障害などを除外した小児正常頭蓋画像データーベースを構築した。現在までに2010年1月以降のデータ蓄積にて、既に計測した症例数は小児(0-6歳)487名を達成している。 また頭蓋の正中矢状面および水平面それぞれにおける、頭蓋骨外板の形態を計測するプログラムを開発した。計測プログラムは、既に用手的手法として確立されたMid sagittal vector analysis(MSVA)および当施設にて開発したHorizontal vector analysis(HoVA)を機械的に計測するものであり、これに対して、従来の用手的計測値(検者間誤差、検者内誤差それぞれ1mm未満)と比較検証を行った。標準的な頭蓋形態を対象とした計測数値の検者間誤差および検者内誤差については用手的計測と同程度の精度が得られることを確認した。 一方で、正常形態と異なる病的変形、頭血腫、骨欠損、人工物、浮腫等による頭皮厚の変化を有する頭蓋の形態計測においては、プログラムで自動修正は結果的に困難であり、都度、用手的な修正を加えることとなった。 臨床応用においては、術前から術後経過に至るまで、患児頭蓋の正常からの剥離度を経時的に計測、データ蓄積しており、同評価法は治療計画および治療効果判定に有効であり、新たに、術後の後戻り変形および、成長様式を明らかにすることが可能となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
画像データベースの構築は既に過去の研究で得られた部分に、本研究期間中の追加のデータ蓄積を並行して行っている。症例数の収集自体は順調である。 プログラムを用いた自動計測の開発に於いて、計測平面の面出しの安定性および、計測平面上に生じた骨画像の各種イレギュラー(骨欠損、頭皮の浮腫、プレート等人工物、その他)に計測値が影響される事象に対し、昨年中にプログラム修正を進めたが、一律に完全な自動計測が可能なプログラムを完成するには至っておらず、用手的な計測画像の事前整理作業を必要としている。 計画当初に比較して、計測前の画像整理にかかる時間を要している現状であるが、計測自体の速度および精度についてはプログラム導入による改善を認めており、本プログラムを用いて、蓄積症例の計測を進めている。 また、臨床応用においては、3年で30例を目標としていたが、実際の新患数増減に大きく依存するため、2年間にて現在15手術となっている。新患数が研究期間内に目標に達する見込みは低いものの、過去症例の後方視的評価およびそれらの術後長期の経時的経過を追加評価することで本法の有効性については明らかにすることが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に完成したプログラムを用いて計測およびMSVA、HoVAデータベース構築を進め、より正確かつ詳細(性差等)な標準値を明らかにする方針である。 得られた標準値はデータの蓄積に伴い逐次アップデートを行う。 計測の臨床応用は都度アップデートされた標準値を基に並行して進め、年間5-10例の新規手術で使用する方針である。
計測標準値を用いた治療計画および治療効果判定については、最終年度中に論文作成を行う。
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