研究課題/領域番号 |
21K09770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 京都大学 (2022) 京都府立医科大学 (2021) |
研究代表者 |
素輪 善弘 京都大学, 医学研究科, 講師 (80468264)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
松崎 典弥 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00419467)
生駒 和也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50516044)
Louis Fiona 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任助教(常勤) (70838523)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳房再建 / 血管内皮細胞 / 凍結保存 / 脂肪幹細胞 / 組織工学 / 脂肪組織 / 脂肪注入 / 血管新生 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は採取された吸引脂肪から注射器で注入でき優れた血管網と外圧耐性を兼ね備えた堅牢な移植用脂肪組織ボール(iPAT)に加工する技術を開発した。しかし現状では、製造過程にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用している問題があり、臨床利用への橋渡しのために分割注入を可能にするiPATの保存法、効率的な大量培養法、大容量の生着率等の検討がさらに望まれる。本研究ではHUVECに代わる血管構成細胞の探索と、臨床現場に即したiPATの低侵襲乳房再建臨床利用を可能にする新しい技術を開発する。
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研究実績の概要 |
1.自己脂肪細胞組織由来の血管内皮細胞調整とこれを用いたiPAT作成:ALK5 inhibitorを添加することで血管内皮細胞の獲得効率を検討したところ、無添加群が1.2%の血管内皮細胞を採取できたのに対して、添加群では29.29%に向上した。次にこの 自己脂肪組織由来の血管内皮細胞を用いて、HUVECと同様の手法でiPATを作成したところ、iPATと類似した脂肪組織ボールが作成可能であることを確認した。これまでと同様に、自己細胞由来のiPATをマウスの鼠径部に移植したところ、従来のiPATと同様に生着した。2週間後の移植組織の状態を示す。組織評価では、毛細血管レベルの血管構造が錯綜した脂肪細胞とその基質がみとめられた。
2.iPATsの凍結保存に関しての成果:100個のiPATを2種類の凍結保存培地で冷凍保存し、7および30日後に解凍、再培養したところ良好な凍結保存能を有していることが示された。解凍後7日後に培養した複数のiPATの合体現象がみられた。またインスリン誘導後脂肪酸取り込み、HoechstおよびPIによりiPATの機能とバイアビリティが温存されていることを確認した。
3.プロセスの自動化とスケールアップ、さらに大きなサイズの移植治療:iPATsのスケールアップ化のための大量培養装置が今回の研究目的に不適合であった点に苦労してきた。そのため、新規のバイオリアクターの購入を決め、深く検討した結果回転するバイオリアクターの中で培養血管付きボールを動かしながら球形のiPATを作成できるCellPet 3D-L (J-Tec)を2つ購入した。これによりiPATを量産することが可能となった。同時に、ディスペンサー装置によるバイオプリンティングを配備し、さらに効率、高速に産生効率を向上する工夫を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPATsのスケールアップ化のための大量培養装置が今回の研究目的に不適合であった点に苦労してきた。具体的にはスピナー付き大量培養用フラスコを用いたスケールアップ化したが、スクリューがiPATを損傷させることで、形態が崩れ、従来の積層型iPAT→ミニ乳房(オルガノイド)形成の実現が難しいことが判明した。そのため、これらの改善策の検討に予想外の時間を消費してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
これによって、手動から自動培養システムが構築され、今後iPATの作成のスケールアップ化(プロセスの自動化とスケールアップ、さらに大きなサイズの移植治療)を目指す。令和6年初めまでに京都大学と大阪大学と共同して改良型iPATの安定的作成法の確立、冷凍保存能・機能検討、さらにウサギ・ミニブタへの移植実験を行っていく。 乳癌手術に伴う乳房欠損は少なくとも50cc以上のサイズに至り、100万個レベルの製造が必要になる。 生産効率を向上させるために製造物の大型化・大量製造法の開発が必要と考えており、平行してこれをジェイテックコーポレーションとの共同開発を進めていく。 今後予想以上に多くの内皮細胞が必要となるケースも想定されるため令和5年以内には大阪大学 高倉研と血管内皮幹細胞の活用法を検討する。
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