研究課題/領域番号 |
21K09772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
朝村 真一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20340804)
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研究分担者 |
久米川 真治 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40866985)
井上 徳光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80252708)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | リンパ浮腫 / 補体 / 慢性炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫患者の臨床像は蜂窩織炎や皮膚の硬化を呈し、その分子メカニズムに関して不明な点が多い。一方、補体は自然免疫機構の1つで本来は外来異物の除去に働くが、補体の過剰な活性化は細胞破壊や炎症を引き起こすため、補体の活性化を制御することで創傷治癒を促進することが報告されている。リンパ浮腫の病態でみられる炎症プロセスや線維化の誘導は、慢性創傷の治癒過程と極めて類似している。本研究では、補体C3およびC5の欠損マウスを用いて、リンパ浮腫における補体の役割を明らかにし、その分子機構の一端を解明し、薬理学的治療法がない続発性リンパ浮腫に対する治療薬の開発に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、分子メカニズムが不明であるため、確立された治療がない続発性リンパ浮腫について、慢性炎症や線維化など病態進行のメカニズムを、補体の関与の視点で明らかにしようとする初めての取り組みである。今回、補体の制御機能に着目し、リンパ浮腫の基盤にある炎症プロセスと線維化について、その病態的意義と補体活性化の制御による分子機構を解明することを目的とした。 C57BL/6系マウスを用いてマウス尾部リンパ浮腫モデルの作成後、マウス尾の周径を計測し、術後のリンパ浮腫の経時的評価を行った。術後3週間まではマウス尾の体積は経時的な増加が認められた。 術後3週間における尾部の組織学的観察を行った。野生型マウスではリンパ管の拡大、間質の増大を認め、皮下組織における死細胞の増加、炎症細胞の浸潤、補体C3の沈着を認めた。また、C3の沈着部位に一致してC4の沈着を認め、古典経路またはレクチン経路が活性化していることが明らかとなった。 リンパ浮腫と補体活性化の関連を明らかにするために、すでに導入済みのC3またはC5欠損マウスを用いてマウス尾リンパ浮腫モデルを作成した。術後3週までのリンパ浮腫の程度は、C3、C5欠損マウスともに野生型マウスと比較して有意差は認めなかった。 C3欠損マウスにおいては、リンパ浮腫組織で死細胞の増加とCD4+T細胞浸潤の増加が検出され、C3欠損が死細胞除去の障害を引き起こし、それが死細胞の増加およびCD4+T細胞浸潤を促進している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ浮腫の進行における補体活性化との関連性を示唆し、リンパ浮腫進行の分子メカニズムの解明に寄与することが期待される。 リンパ浮腫において生じる複雑な病態が解析されつつあり、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
長期(3ヶ月)の経過についてマウス尾の体積や炎症細胞浸潤の程度について比較検討する。
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