研究課題/領域番号 |
21K09776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
美島 利昭 北里大学, 医学部, 講師 (00296477)
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研究分担者 |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 准教授 (40203187)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リンパ浮腫 / トロンボキサン / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫は外科手術後や放射線治療の合併症として発症する。しかし根治治療がなく患者のQOLを不良にするため有効で新たな治療の開発が望まれている。われわれは、脂質メディエーターであるプロスタグランジンE2がマクロファージに作用してリンパ管を新生させることを報告した。一方、同じシクロオキシゲナーゼの働きから合成されるトロンボキサンA2にリンパ管新生作用がある可能性を最近見いだした。そこで、本研究では遺伝子改変動物に2次性リンパ浮腫モデルを作成して、トロンボキサンA2受容体シグナルにはマクロファージによるリンパ管新生促進があることと、そのリンパ管新生制御機構を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
リンパ浮腫はリンパ節廓清術を伴う乳がんや子宮・卵巣がんといったリンパ節廓清をともなうがんの手術や放射線治療の合併症として続発的に発症する。リンパ浮腫は運動機能障害、線維化を伴う慢性皮膚炎症、易感染性などをきたし患者のQOLを低下させる。リンパ浮腫改善のためには機能的新生リンパ管の形成が鍵となるものと推定されるが、その病態については不明な点が多い。一方、血小板凝集や血管平滑筋収縮作用があるトロンボキサンA2に、炎症組織においてリンパ管新生増強作用があることを我々は最近見いだした。そこで、2次性リンパ浮腫におけるリンパ管新生解明のために、マウス尻尾部基部皮下組織を全周掻爬しリンパ管を選択的に結紮切離するリンパ浮腫モデルを用いた。 雄性C57BL/6マウス(野生型マウス)とトロンボキサンA2受容体欠損ノックアウトマウス(TP受容体欠損マウス)を用いた検討結果から、マウス尾部浮腫モデルにおいて、内因性トロンボキサンはマクロファージのトロンボキサンA2受容体に作用し、リンパ管新生を促進させることでリンパ浮腫軽減に関与することが示唆された。そこで、マクロファージ特異的TP受容体欠損マウスとコントロールマウスを用いて、尾部リンパ浮腫モデルを作成しリンパ管新生の違いを検討した。その結果、コントロールマウスと比較して、マクロファージ特異的TP受容体欠損マウスでは尾部浮腫の遷延化、リンパ管新生の減少、リンパ管新生促進因子VEGF-C, VEGF-Dの産生低下、炎症性マクロファージの集積増加などがみられた。これらの結果から、マクロファージにおけるTP受容体シグナルはリンパ管新生促進因子を産生してリンパ管新生を促進し2次性リンパ浮腫を軽減する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。2次性リンパ浮腫モデルを用いて、マクロファージTP受容体シグナルがリンパ管新生を増強する役割を果たしていることを明らかにすることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画に沿って、本研究を進めていく。マクロファージ特異的TP受容体欠損マウスを用いてさらに検討する。またその制御機構についても明らかにする。
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