研究課題/領域番号 |
21K09777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北畑 伶奈 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70772474)
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研究分担者 |
酒井 成貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00464941)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | マクロファージ / Hofbauer細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
Hofbauer細胞は哺乳類の胎盤に見られ、抗炎症機能などの調節をつかさどっている胎仔由来のマクロファージとされている。それらは、妊娠の調節および胎児の発育に重要な役割を果たすと考えられている。しかし、それらの起源、表現型、機能、および妊娠中に維持される理由を特定した研究はほとんどない。Hofbauer細胞が母体の妊娠糖尿病、子癇前症、およびジカ熱などのウイルス感染症を合併している患者に関与することが報告されている。申請者らは皮膚の慢性潰瘍の炎症のコントロールによる治癒機構に関して研究してきた。本研究はHofbauer細胞の起源・機能について解明し、皮膚の炎症調節に応用可能かを探る。
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研究実績の概要 |
Hofbauer細胞はヒトおよび哺乳類の胎盤の絨毛膜絨毛に見られ、抗炎症機能などの調節をつかさどっている胎仔由来のマクロファージとされている。それらは、妊娠の調節および胎児の発育に重要な恒常性環境の維持に重要な役割を果たすと考えられている。Hofbauer細胞の数は、ヒト胎盤の中で最も豊富な免疫細胞であり妊娠中は維持されている。しかし、それらの起源、表現型、機能、および妊娠中に維持される理由を特定した研究はほとんどない。 例えば、Hofbauer細胞は間葉系前駆細胞に由来するとの報告もあげられる(Bacteriol. 1967 Apr;93(2):710-7.)が以降ほとんど証明されていない。また胎仔の循環単球が血流にのり、定着し分化するとの報告もある(Placenta. 2013Sep;34(9):836-9.)。本邦では1991年に高橋らが、原始マクロファージが妊娠10日目でマウス胎盤の絨毛膜絨毛の血管に出現し、これらが絨毛膜絨毛間質に入り、液性の物質を摂取してHofbauer細胞に変化することを報告している(J Leukoc Biol.1991 Jul;50(1):57-68.)。 もし胎盤由来の間葉系前駆細胞からの分化であるならば、その性質を引き継ぐことも考えられる。報告は少ないものの胎盤絨毛由来の間葉系幹細胞は自己増殖能が高く、免疫拒絶性が低く、免疫調整機能を有するため、類似する機能を有する可能性も考えられる。本研究はその第一歩としてHofbauer細胞の起源・機能について解明することで、後にHofbauer細胞が皮膚の炎症調節不全に対して有効かどうかを探る。マウスの胎生期の胎盤を回収し組織切片を作成し、蛍光免疫染色により所在の確認を行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により物流および人流の制限もあり研究自体が滞っている。当初胎盤の組織切片を用いて容易にHofbauer細胞の描出が可能であると考えていたが、予想以上にマクロファージが存在するため同定に困難を要し時間がかかっている。文献的考察を再度繰り返し新規に抗体を購入し染め分けを行っていく予定である。また人事異動などの理由によっても研究に使用できる時間が制限されているため研究の進捗状況は遅れていた。加えて、購入したマウスの繁殖が進まず、蛍光の観察が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Hofbauer細胞はヒトおよび哺乳類の胎盤の絨毛膜絨毛に見られ、抗炎症機能などの調節をつかさどっている胎仔由来のマクロファージとされている。それらは、妊娠の調節および胎児の発育に重要な恒常性環境の維持に重要な役割を果たすと考えられている。Hofbauer細胞の数は、ヒト胎盤の中で最も豊富な免疫細胞であり妊娠中は維持されている。しかし、それらの起源、表現型、機能、および妊娠中に維持される理由を特定した研究はほとんどない。Hofbauer細胞は間葉系前駆細胞に由来するとの報告と胎仔の循環単球が血流にのり、定着し分化するとの報告もある。本邦では1991年に高橋らが、原始マクロファージが妊娠10日目でマウス胎盤の絨毛膜絨毛の血管に出現し、これらが絨毛膜絨毛間質に入り、液性の物質を摂取してHofbauer細胞に変化することを報告している。 もし胎盤由来の間葉系前駆細胞からの分化であるならば、その性質を引き継ぐことも考え られる。報告は少ないものの胎盤絨毛由来の間葉系幹細胞は自己増殖能が高く、免疫拒絶性が低く、免疫調整機能を有するため、類似する機能を有する可能性も考えられる。マウスの胎生期の胎盤を回収し組織切片を作成し、蛍光免疫染色により所在の確認を行っている段階である。文献的考察により選定した表面抗原をターゲットとして染め分けを行っている。しかしながら循環単球が流入して定着し分化していた場合の証明は困難である。遺伝子組み換えマウスを使用することによってトレーシング実験が可能になる。そのため、遺伝子組み換えマウスの購入を行い繁殖中である。
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