研究課題/領域番号 |
21K09782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | びわこリハビリテーション専門職大学 |
研究代表者 |
中野 法彦 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (40322721)
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研究分担者 |
井出 千束 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (70010080)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 神経再生 / 脊髄損傷 / 中心管上衣細胞 / 脊髄中心管 |
研究開始時の研究の概要 |
脊髄損傷に対する根治療法が医学的にも社会的にも求められている。我々は、これまでに骨髄間質細胞などの移植が脊髄損傷に対して有効であることを報告し、臨床試験を進めている。その一連の解析の中で脊髄中心管上衣細胞のはたらきに注目するようになった。そこで、本研究では、ラット終糸の中心管上衣細胞を培養し神経再生に対する有効性の解析を行い、モデル動物に移植して治療効果を明らかにする。脊髄に存在する細胞を用いることにより生理的で安全性の高い新たな治療法の開発につながると考えている。
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研究実績の概要 |
我が国において、脊髄損傷患者は現在約10万人に上り、毎年約5,000人が新たに受傷している。脊髄損傷患者の生命予後は改善されてきているものの、脊髄損傷に対する根本的な治療法がないのが現状である。そのため、中枢神経系の再生のメカニズムに基づいた脊髄損傷に対する治療法が開発され、症状の改善や患者のQOLの向上がもたらされることが望まれている。 中枢神経系は一度損傷を受けると再生しないと長い間考えられてきたが、近年、成人においても中枢神経系の再生が起こることがわかり、世界中でさかんに研究が行われるようになった。そして、人工多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞や体性幹細胞などを用いた細胞移植が中枢神経の再生に有効であることがわかってきた。 我々は、骨髄間質細胞や骨髄単核球細胞などの体性幹細胞の移植は、患者自身の細胞を使うために拒絶反応がなく手技的にも容易であることが臨床応用において利点であると考え、それらの細胞を用いて脊髄損傷に対する効果を検討し、その有効性について報告してきた。そして、我々は、次に脊髄の中心管上衣細胞に注目した。中心管上衣細胞は脊髄に存在し、神経系幹細胞の性質を持つため、脊髄損傷の修復への効果が高いと考えられている。 そこで本研究では、脊髄損傷の治療に応用するために、脊髄中心管上衣細胞が神経再生能をもつことを培養細胞やモデル動物を用いて明らかにすることを目的として、中心管上衣細胞の培養条件の確立および中心管上衣細胞移植による神経再生能の解析を行った。培養条件の検討では、中心管上衣細胞のマーカーであるSox2、FoxJ1、vimentinなどの発現を指標に、基本培地、血清濃度、コーティング材、添加因子などについて条件検討した。また、モデル動物に中心管上衣細胞を移植し移植細胞の生存や挙動、神経再生の効果について解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脊髄中心管上衣細胞の神経再生に対する有効性を検討するために、脊髄損傷モデルラットに中心管上衣細胞の移植を行った。移植1、2、4週後に細胞移植した脊髄を固定し免疫組織化学染色を行い、移植した中心管上衣細胞の生存や挙動、神経再生の効果について解析を進めている。 また、中心管上衣細胞の性質を解析するために初代培養細胞を用いた解析を行った。まず、ラット終糸から中心管を採取する手技の改良、効率化を行い、より良好な手法を確立した。次に、採取したラット中心管上衣細胞の初代培養を行い、至適培養条件の検討を行った。中心管上衣細胞のマーカーであるSox2、FoxJ1、vimentinなどの発現を免疫細胞化学染色法で解析し、それを指標に基本培地、血清濃度、コーティング材、添加因子などについて条件検討した。その結果、至適培養条件を確立しつつある状況である。 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行のため、その対策などで大学での教育業務が増大したこと、および、培養関連の試薬や消耗品および実験動物の納入に遅れが生じたことにより、研究に遅れが生じている。また、中心管上衣細胞は幹細胞性の強い細胞から分化した細胞までのヘテロな集団であるので、至適培養条件の確立に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
中心管上衣細胞の培養系の確立したのち、培養中心管上衣細胞の神経再生能や遊走能、分化能を解析する。そして、中心管上衣細胞と骨髄間質細胞、脈絡叢上位細胞などの体性幹細胞との神経再生因子の比較を行う。さらに、脊髄損傷モデルラットを用いて、形態学的解析および運動行動学的解析によりその有効性の検討を行う。
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