研究課題/領域番号 |
21K09798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
大西 文夫 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80327569)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | リンパ浮腫 / 間質クリアランス / インジゴカルミン / 吸光度 / リンパ輸送機能 / クリアランス |
研究開始時の研究の概要 |
リンパ浮腫はリンパの吸収・排出が低下し難治性の浮腫を呈する病態である。現在行われている病態評価法の主流は画像診断による定性評価であり、病態・重症度評価のみならず各種治療の適用基準や治療効果の判定に至るまで定性評価を基準としてしか行えていないのが現状である。しかしリンパ排液効率を定量し数値化できれば、これまでより正確かつ明快な重症度分類、そして治療効果の判定が可能になり、リンパ浮腫の診断学・治療学に大きく貢献できる可能性がある。インジゴカルミンは投与後血中から速やかに尿中に排泄される薬物動態を持つため、患肢の間質に投与後、尿中インジゴ濃度から間質のインジゴクリアランスを算出できると考えた
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研究実績の概要 |
<当該年度の実績>本研究では、四肢リンパ浮腫患肢に注射されたインジゴカルミンの尿中排泄量を測定し、間質からのインジゴクリアランスを算出することでリンパ還流機能を数値化することを目的としている。インジゴカルミンは、腎機能評価やセンチネルリンパ節の識別などに使用されており、間質・リンパ系を経て血中に移行すると速やかに尿中に排泄されることを利用している。 当該年度は、インジゴカルミン投与・尿検体採取プロトコルのデザインを具体化した。患肢末梢部位においてインドシアニングリーンを皮内投与し、リンパ流の近赤外観察を行いながらインジゴカルミンを混合投与することで、リンパ管同定と尿中検体採取を行った。 実際に尿中へのインジゴカルミンの排泄を目視で確認でき、尿中排泄は早ければ30分以内に始まり、遅くとも1時間から2時間までに確認できた。したがって投与から30-60分後の尿中インジゴカルミン濃度が間質クリアランスを反映する可能性があると考えられた。 <進捗状況>プロトコルの妥当性を確認するため、インジゴ投与量や尿検体採取タイミングなどのパラメータの設定を検討した。 <今後の研究の推進方策>実際に尿中に排泄されたインジゴカルミン濃度を測定し、リンパ浮腫重症度との対比を行うことが必要である。健常ボランティアにおけるインジゴカルミン排泄動態について検討を行った後、リンパ浮腫患者について行う予定である。測定データを蓄積し、測定の精度や誤差、インジゴ投与のプロトコルなどを精査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述の通り、臨床で行っているリンパ浮腫検査・治療の際のICG/インジゴカルミン投与プロトコルおよび尿検体採取法が、そのまま本研究のプロトコルとして利用可能かどうかについて検討し、さらにインジゴカルミン投与量や尿中濃度の測定タイミングなどのパラメータの調整を十分に検討したため時間を要している。所見としてはインジゴクリアランスが患者のリンパ還流機能に応じた違いを示すであろうことを見出し、投与量や測定タイミングについてもおおよその目安をつけることができた。ただし測定機器や薬品の購入など研究環境の整備や検体採取しての尿中インジゴカルミン濃度の実測はまだ行えておらず、今後の急務であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実際に尿中に排泄されたインジゴカルミン濃度を測定し、リンパ浮腫重症度との対比を行う事が必要である。測定については分光光度計を用いて行う予定であり、そのための機器や薬品・物品を購入する。測定データを蓄積し、測定の精度や誤差、インジゴ投与のプロトコルなどを精査していく。まずは健常ボランティアにおけるインジゴカルミン排泄動態について検討を行う予定である。いずれリンパ浮腫患者について行っていく予定であるが、例年年間40例以上の症例があるため、研究に進展が見込まれる。
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