研究課題/領域番号 |
21K09816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河野 尚平 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (00868391)
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研究分担者 |
新飯田 俊平 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 研究推進基盤センター, センター長 (10137630)
吉子 裕二 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20263709)
南崎 朋子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30452593)
吉岡 広陽 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (50523411)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 異所性石灰化 / 血管平滑筋 / イノシトール6リン酸 / 血管石灰化 / 慢性腎不全 / イノシトールリン酸 / オミクス / 血管異所性石灰化 / 骨芽細胞 / RNAシーケンシング / 次世代シークエンシング |
研究開始時の研究の概要 |
軟部組織である血管の異所性石灰化は、しばしば硬組織の石灰化不全を伴う。そのため、血管石灰化治療に際しては、硬組織の石灰化を抑制しないストラテジーの開発が急務である。申請者らは、石灰化抑制効果を持つことが知られているイノシトール6リン酸(IP6)が、異なるメカニズムで骨芽細胞と血管平滑筋細胞の石灰化抑制効果を発揮する可能性を見出した。本研究では、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子発現制御ネットワーク解析と独自に開発した細胞膜透過型IP6投与実験を組み合わせることで、血管特異的な石灰化抑制ターゲットの同定を目指す。
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研究実績の概要 |
イノシトール6リン酸(IP6)はハイドロキシアパタイト結晶に結合し、その成長を阻害することから血管石灰化治療薬として期待されているが、ハイドロキシアパタイト成長阻害を作用機序とすると硬組織の骨化をも阻害してしまう危険性がある。IP6の細胞膜透過性は低いが、飲作用によりその一部が細胞内に取り込まれることが知られている。 我々が新規に開発した膜透過型IP6(IP6-AM)はマウス大動脈由来血管平滑筋細胞株MOVASの石灰化を阻害するが、IP6は骨芽細胞前駆細胞株KUSA-A1の石灰化を阻害しない。それゆえ、IP6-AMは骨の石灰化を妨げることなく異所性の石灰化のみを抑制する可能性がある。さらに、ヒトの初代培養大動脈平滑筋細胞(hVSMC)を用いてIP6-AMの石灰化阻害活性を評価したところ、IP6AMはhVSMCの石灰化を濃度依存的に阻害した。IP6は細胞内に存在するリン酸化酵素や脱リン酸化酵素によりリン酸基の数が増減する可能性がある。そこでIP6のリン酸化酵素であるIP6K1/2と脱リン酸化酵素であるMINPP1をノックダウンし、IP6-AMの石灰化阻害活性における影響を評価した。その結果、いずれのノックダウンもIP6-AMの石灰化阻害活性に影響を与えなかった。この結果は、IP6-AMはリン酸基の数が増減した代謝産物ではなく、IP6として石灰化阻害活性を発揮することを示唆している。また、トランスクリプトーム解析の結果、石灰化誘導によって発現増大する375遺伝子のうち、IP6による抑制を受けた遺伝子が199、IP6-AMによる抑制を受けた遺伝子が195であった。IP6-AMでのみ抑制される遺伝子として16種類の遺伝子を同定した。
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