研究課題/領域番号 |
21K09824
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 (2022-2023) 大阪歯科大学 (2021) |
研究代表者 |
納富 拓也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70542249)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 破骨細胞 / 力学的刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
破骨細胞分化方向を決定する力学的閾値とそれを土台とする力学的刺激記憶機構の同定を目指すため、以下の3計画を実施する。 (1) 力学的閾値同定のための力学的刺激条件について、TRAP活性を指標としてスクリーニングを行い、(2) その閾値以上・以下で発生する個々のメカニズム・力学的刺激記憶機構について、関連分子の同定と膜電位の新観点(膜電位の光操作を行う)から、明らかとする。(3) 生体内での力学的閾値・力学的刺激記憶機構の存在を、マウスに運動力学的刺激(スクリーニングした力学刺激条件・標的分子阻害薬物)を与えて検証して、骨代謝コントロールにつなげる。
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研究実績の概要 |
骨中力学的刺激伝達機構の研究は、力学的刺激応答性の明確な骨芽細胞を中心に発展しており、骨吸収を担う破骨細胞では、ほとんど検討されていない。特に、破骨細胞分化と力学的刺激について、その影響は刺激条件次第で正反対の結果(分化促進もしくは抑制)となる。これは、破骨細胞の力学的刺激応答性に力学的閾値(Mechano-threshold)が存在することを示す。本計画では、破骨細胞分化方向を決定する力学的閾値を仮定して、それを土台とする力学的刺激記憶機構(Mechano-memory:力学的刺激終了後、長期に渡り細胞内シグナル伝達機構が活性化され続ける)の同定と解明に挑む。 本年度では、引き続き得られた力学的閾値に基づいて、その再現性とシグナル伝達機構の重要分子について検討を進めた。長期間(7日間以上)の力学的刺激後にERK比率(リン酸化ERK/全ERK)が増加していることを背景として、グルタミン酸受容体(NMDA受容体)を標的分子の一つとして検討した。NMDA受容体の可逆的阻害薬を伸展刺激時に添加すると、長期伸展刺激後のERK比率増加が認められなかった。NR1の遺伝子欠損細胞を作成したが、細胞の増殖が低下して、実験に用いることが難しくなり、実験条件を検討中である。ただし、NR1欠損細胞では、TRAP活性減少条件下(力学的閾値以上の伸展条件)において、力学的刺激による破骨細胞分化抑制効果が確認されなかった。これは、以前、RAW細胞および骨髄由来細胞の破骨細胞を用いた検討で、阻害薬を用いた結果と同様である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
力学的閾値の条件スクリーニングは、再検証を含めて実施しているが、再現性がとれてきており、確証の高い力学的閾値の条件が判明してきている。また、CRISPR/CAS9による関連分子を欠損したRAW細胞は作成して、それを用いる条件検討を行っている。それとともに、ウェスタンブロッティングによるERK比率の同定をTRAP活性測定とともに実施している。
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今後の研究の推進方策 |
仮定した力学的刺激閾値の条件を用いて実験を進めていく。破骨細胞分化との関連性については、引き続きTRAP activityを指標として検証する。標的分子については、CRISPR/CAS9による遺伝子欠損細胞を作成しているが、充分な量ができていないため、引き続き実施していく。作成済みの遺伝子欠損細胞では、遺伝子欠損の検証をリアルタイムPCRにてスクリーニングする。マウスを用いた実験については、野生型マウスに、細胞レベルでの閾値条件と類似した負荷をかけて、生体内での閾値の存在を検証する。
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