研究課題/領域番号 |
21K09836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉垣 純子 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (40256904)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | クリノファジー / 唾液腺 / 分泌顆粒 / タンパク質分解 / オートファジー / シェーグレン症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
外分泌細胞には余剰になった分泌顆粒をリソゾームと直接融合させて分解するクリノファジーと呼ばれる機構が存在する。クリノファジーの破綻は分泌顆粒の異常な分泌を引き起こし,組織内炎症の原因になると考えられる。これがシェーグレン症候群発症の原因の1つであると予想した。しかし,クリノファジーは生きた細胞での検出法が確立しておらず,解析が遅れている。そこで,本研究では,クリノファジーの新しい検出法を開発し,誘導・阻害に関わる因子を同定する。クリノファジーの制御機構を明らかにすることで,シェーグレン症候群の発症機序の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
唾液腺腺房細胞における分泌顆粒の処理機構を解析するために,形成されてからの分泌顆粒の分泌効率の時間変化を測定した。新旧の分泌顆粒を区別し,それぞれの分泌量を測定する系を確立した。唾液タンパク質であるシスタチンD(Cst5)とリガンド結合タンパク質HaloTagの融合タンパク質(Cst5-Halo)を耳下腺腺房細胞の初代培養細胞に発現させると効率よく分泌顆粒に輸送された。蛍光物質であるTMRを結合したHaloTagリガンドを培地に添加すると,それまでに合成され分泌顆粒に貯蔵されたCst5-Haloに結合しラベルされる。その後,余分なリガンドを除去し,3また6時間後に分泌刺激としてβアゴニストであるイソプロテレノール非存在下および存在下でインキュベートし,細胞と培地を回収した。AlexaFluor660リガンドで新規合成されたCst5-Haloをラベルしてから電気泳動後,ゲルイメージングによってそれぞれの蛍光色素でラベルされたCst5-Halo量を検出し,分泌割合を求めた。その結果,TMRラベル後3時間では,AlexaFluor 660でラベルされたCst5-Haloの方が,TMRラベルされたCst5-Haloと比較して刺激依存的な分泌上昇が高いことが明らかになった。一方,TMRラベル後6時間が経過すると,差が見られなくなった。したがって,形成されて3時間以内の新規分泌顆粒は分泌効率が高いが,その後分泌刺激に対する応答性が低下することが明らかになった。開口放出に関わるタンパク質や脂質に何らかの変化が起きていることが予想された。耳下腺の分泌顆粒は形成後,時間と共に劣化していく可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形成後の時間経過の異なる分泌顆粒を2色のHaloTagリガンドで染め分けることによって,分泌顆粒の刺激応答性が時間と共に低下することを示した。細胞の蛍光像の観察から,新旧の分泌顆粒の細胞内局在には差がないことが明らかになった。にも関わらず分泌効率に違いがみられるということは,分泌顆粒の輸送過程では無く細胞膜への融合など開口放出の過程に違いがあると考えられる。したがって,分泌顆粒が形成されてから3-6時間の間に開放放出のマシナリーに何らかの変化が起こっていることが予測された。分泌顆粒の時間変化に関する情報は今後のクリノファジー解析に有用である。この情報を利用して,分泌顆粒とリソゾームの融合過程,積み荷タンパク質の分解過程の解析を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
分泌顆粒の開口放出マシナリーの多くは分泌顆粒の表面に存在しており,その変化を認識してクリノファジーが誘導されると予想される。そこで,分泌顆粒の分泌効率が低下する形成後3-6時間を中心に分泌顆粒の変化を解析する。分泌顆粒を精製して構成する膜タンパク質および脂質の解析を行う。また,分泌顆粒とリソゾームの融合過程をHaloTagリガンドとリソゾームトラッカーの共染色で計測する。これまでの解析から,通常の培養状態ではクリノファジーの効率は低いことが予想される。そこで,細胞ストレスとして炎症性サイトカインやオートファジー誘導剤によるクリノファジーの誘導を試み,クリノファジーの分子機序について検討する。
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