研究課題/領域番号 |
21K09838
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
金 舞 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90625584)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Radiogenomics / OSCC / PET / Texture解析 / 治療抵抗性口腔癌 / イメージングバイオマーカー / テクスチャ解析 / Radiomics |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、口腔扁平上皮癌における画像診断学的解析手法(Texture analysis)と生物学的分野の次世代シークエンサー等によるOmics解析(腫瘍の遺伝子型、表現型)を用いて、抗腫瘍効果や治療効果予測との関連性について調査する。新規薬剤投与の際に生じる、腫瘍免疫応答の画像評価による新たな課題に対し、口腔癌のTexture画像と腫瘍全体の遺伝子解析による新規画像バイオマーカーを探索し、課題解決を図る。同時に治療効果予測や予後予測と遺伝子変異との関連が明らかになることで、患者への非侵襲的な情報提供を可能としながら、がん治療開始前にその治療精度の向上や評価に有意義である。
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研究実績の概要 |
本研究は、治療抵抗性口腔癌におけるTexture analysisと次世代シークエンサー等によるOmics解析(腫瘍の遺伝子型、表現型)を応用した、抗腫瘍効果や治療効果予測との関連とプレセジョンメディシンの構築について調査を継続している。 口腔扁平上皮癌における腫瘍細胞の糖代謝活性を反映したFDG-PET画像診断学的解析手法(Texture analysis)と生物学的分野の次世代シークエンサー等によるOmics解析(腫瘍の遺伝子型、表現型)を 用いて、抗腫瘍効果や治療効果予測との関連性について調査している。 昨年度は、腫瘍免疫応答のTexture画像評価を実施し、いくつかの有用なイメージングバイオマーカーの抽出に成功した。 本検討で有意差を認めた画像パラメーターは、これまでに報告した体積評価metabolic tumor volumeのほか、Gray level Run Length matrix(GLRLM)やSHAPEなども有意差を認め、相関係数にお いては従来のMTVとGLRLMにおいては0.76と相関を認めている。今回抽出されたGLRLMの特徴量は、画像中に含まれる濃度レベルを直線方向ごとに行列で求め、そ の出現頻度を算出した画素値で、Run length nonuniformity(RLNU)は、その直線の長さに関する不均質性を反映していると考えられた。 昨年度の結果を基盤に、今年度は癌ホールマークを考慮し、各遺伝子リストのアノテーションについて評価した。治療非奏功群におけるEnrichment Score の判定において、遺伝子 変動量の高い遺伝子の抽出に成功した。 抽出されたいくつかの遺伝子において、自施設での治療効果や予後との関連について調査し、手術切除標本から免疫組織学的染色を実施し、ターゲットタンパク質について視覚的な評価を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の進捗状況から、病変の生物学情報と医用画像から抽出した多数の定量的な特徴量を関連付けた網羅的な解析を実施した。それらの結果より、今年度はEnrichment Scoreの高い遺伝子とPETのTextuer featureとの相関関係において調査した。その後、自施設における手術検体から採取したホルマリン固定切片を用いて腫瘍細胞の特定のタンパク質への細胞内への取り組みを確認する目的でimmunohistochemistryを実施している。
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今後の研究の推進方策 |
Jiaying Wangら(Cell Physiol 235(3):3056-3068,2020)の文献によると、口腔癌患者の生存率に関連する6つの候補遺伝子(CXCL10、OAS2、IFIT1、CCL5、LRRK2、PLAUR)が同定されている。本検討では、治療抵抗性口腔癌における治療奏効効果に関連する新たな遺伝子が明らかになった。その遺伝子情報に上乗せして腫瘍代謝活性を反映させた画像情報との相関についても今後詳細な検討をすすめていく。具体的な方針としては、mRNA発現量の調査や、ホルマリン固定標本を用いた免疫組織学的なタンパク発現量の評価を検討している。異常発現したmRNAが腫瘍形成に影響を与えるため、PI3K/Aktシグナル伝達経路や、p53シグナル伝達経路の遺伝子抑制標的遺伝子についてもさらなる検討を要することが明らかに なっており、治療感受性との関連についても調査する。。 その他、初回治療終了後にProfress Deseaseと判定された患者における治療アルゴリズムは分子標的薬にとどまらず、免疫チェックポイント阻害剤についても近年臨床応用されている。そのため、腫瘍免疫環境評価においてもさらなる検討を予定している。
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