研究課題/領域番号 |
21K09858
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松尾 美樹 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (20527048)
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研究分担者 |
小松澤 均 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90253088)
菅井 基行 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, センター長 (10201568)
LE NGUYEN・TRA・MI (レ グエントラミ) 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20897904)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / 黄色ブドウ球菌 / バクテリオシン / 口腔 / 多剤耐性 / 高度耐性 / 薬剤耐性菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全身感染症の起点となる口腔由来黄色ブドウ球菌について、抗菌剤ごとの高度薬剤耐性黄色ブドウ球菌の出現割合や遺伝子変異と病原性の相関を網羅的に検証する。さらに、内在性の遺伝子変異により高度薬剤耐性能を持つ黄色ブドウ球菌 (内在変異型高度耐性菌) の市中における潜在率の検証も行う。これらの基盤研究により、将来的に口腔由来黄色ブドウ球菌の高度薬剤耐性化リスクのトリアージを行うことで診断法の確立を目指す。リスク診断法を確立することで、耐性菌出現を起こさない適切な抗菌剤の使用量と頻度の情報を医療現場に提供することで、口腔由来の薬剤耐性菌出現を抑制することも視野に入れている。
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研究実績の概要 |
本研究では、内在性遺伝子変異が黄色ブドウ球菌の薬剤感受性に影響を与えることを検証することを目的としている。期間全体を通して、別プロジェクトでヒトから分離した黄色ブドウ球菌142株について、ゲノム解析と薬剤感受性試験を行った。その結果、薬剤感受性に多様性を認め、陽性にチャージした抗菌剤に対する感受性について、二成分制御系であるgraRSやその標的因子であるdlt, mprF 遺伝子に共通した多型性を認め、この多型が陽性チャージの抗菌物質感受性の多様性と関連していることが明らかになった。興味深いのは、この多型性は必ずしもST分類にとは一致していない(論文投稿中)。MRSAの整体への定着阻害について、本研究でMRSAに抗菌効果を認める細菌由来のバクテリオシンを複数見出した。そのうち3つのバクテリオシンは、ヒトの皮膚や口腔、鼻腔から分離されたStaphylococcus属であった。常在細菌の一部が薬剤耐性黄色ブドウ球菌の排除を担うことが示唆された。いずれのバクテリオシンもゲノム解析を行い、バクテリオシンはプラスミド上にコードされていた。見出したバクテリオシンについては精製を行い、その二次構造もMS解析により同定し、そのうちNukacinについては既報のものとはアミノ酸配列が異なっており新規バクテリオシンとして報告を行った。このNukacinについては、う蝕細菌であるStreptococcus mutansを用いた実験において、nukacin耐性を獲得するにあたり、耐性因子switch mutationが生じていることを見出した。このことは、細菌が生体内で常在化する際に他菌が産生するバクテリオシン耐性を獲得する進化の過程解明につながる発見として、論文として報告した。
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