研究課題/領域番号 |
21K09863
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70322170)
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研究分担者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (10367617)
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (90302893)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん転移 / スクレロスチン / Wntシグナル |
研究開始時の研究の概要 |
がんは種類によって転移しやすい臓器があり、がん転移の臓器選択性と呼ばれている。本研究では、骨に極めて特異性が高い液性因子であるスクレロスチンに焦点を当て、スクレロスチンを介した骨選択的がん転移の調節メカニズムの解明を目指す。本研究の成果は、スクレロスチンを標的とした骨転移に対する特異的治療法の開発にもつながるものである。加えて、現在、骨粗鬆症治療に臨床応用されている抗スクレロスチン抗体の、「がん」という疾患の側面からの有用性・危険性についても示唆を与えることができる研究である。
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研究成果の概要 |
本研究では、主に骨細胞から産生されることから、骨特異性が極めて高い液性因子スクレロスチンのがん骨転移に対する作用を検討した。モデルマウスを用いた検討では、古典的Wntリガンドに対する反応性を示すがん細胞の骨転移のみが、抗スクレロスチン抗体投与により有意に増加した。その際、破骨細胞数の有意な増加がみられた。また、古典的Wntリガンドは古典的Wntリガンド反応性がん細胞のスフェア形成を促進した。以上の結果から、スクレロスチンの遮断は古典的Wntシグナルを活性化することにより、古典的Wntリガンド反応性がん細胞の幹細胞様形質の増強と破骨細胞形成の亢進を介して骨転移を促進させることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は臓器選択的がん転移に対する制御機構の一端を解明するために、骨特異性が極めて高い分子であるスクレロスチンのがん骨転移に対する作用を検討したものである。本研究の結果から、一部のがん細胞においては抗スクレロスチン抗体投与によるスクレロスチン抑制が骨転移を促進する可能性が示唆された。抗スクレロスチン抗体は、現在、骨粗鬆症治療薬として臨床的に使用されていることから、がんの既往のある骨粗鬆症患者へ使用した際に、骨転移を誘発する危険性を示唆する学術的および社会的意義の大きい研究成果が得られたと考えている。
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