研究課題/領域番号 |
21K09865
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
久家 貴寿 摂南大学, 薬学部, 講師 (20551857)
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研究分担者 |
山岸 伸行 摂南大学, 薬学部, 教授 (60298685)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | FAM83H / エナメル質形成不全症 / CK1 / スプライシング / ケラチン / エナメル質 / ケラチン骨格 |
研究開始時の研究の概要 |
優性遺伝性低石灰化型エナメル質形成不全症(ADHCAI)はFAM83H遺伝子の変異で起こる疾患である。FAM83HはCK1をケラチン骨格上に局在化させるタンパク質であり、ケラチン骨格構造構築に関わっている。FAM83H変異タンパク質は、CK1をケラチン骨格上に局在化させる機能を失っており、代わりに、CK1をスプライシング関連核内構造体(核内スペックル)に局在化させる。本研究では、FAM83H変異タンパク質が、どのような仕組みでCK1を核内スペックルに局在化させているのか、核内スペックルに局在化したCK1がADHCAIを誘発するのかどうかを検討する。
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研究実績の概要 |
優性遺伝性低石灰化型エナメル質形成不全症は、FAM83H遺伝子の変異で生じる。FAM83H変異遺伝子には、FAM83HのN末端側断片タンパク質(FAM83H N断片)がコードされているが、FAM83H N断片による疾患発症の仕組みは不明である。FAM83Hは、CK1キナーゼの細胞内局在を制御していることが分かっている。本研究では、FAM83H N断片が、CK1の細胞内局在制御に何らかの影響を与える可能性について検証してきた。2022年度までに、FAM83H N断片がCK1を細胞核内の核スペックル(スプライシング制御因子の集積地)に局在化させることを明らかにしている。2023年度は、FAM83HおよびCK1の核スペックル局在化によって、遺伝子発現やスプライシング等にどのような影響が生じるのかを調べた。FAM83HおよびCK1の核スペックル局在化は、上皮間葉転換(EMT)様表現型を示す大腸がん細胞株でも観察される。EMT様表現型を示すRKO細胞株と、示さないDLD1細胞株のFAM83Hをそれぞれノックダウンし、RNA-Seq法でmRNAの発現変化を調べた。さらに、FAM83Hを過剰発現させたRKO細胞株のRNA-Seq解析も実施した。これらのRNA-Seq解析により、FAM83HおよびCK1の核スペックル局在化の影響を受ける遺伝子候補を複数特定した。研究期間を2024年度まで延長し、現在は、特定された候補遺伝子の検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初より、2023年度は、FAM83H変異タンパク質およびCK1の核スペックル局在化が、遺伝子発現やスプライシングの調節に与える影響を、RNA-Seq解析等で探索することを構想していた。当初は、FAM83H変異タンパク質を発現させたエナメル芽腫細胞株のRNA-Seq解析等を行う計画であったが、この計画は、FAM83H変異タンパク質安定発現エナメル芽腫細胞株の樹立が技術的に困難であったため断念した。そこで、代替的な実験として、FAM83Hを過剰発現させた上皮間葉転換(EMT)様表現型提示がん細胞のRNA-Seq解析等を実施した。EMT様表現型提示がん細胞においても、FAM83H(野生型)およびCK1の核スペックル局在が、FAM83H変異体発現時と同様に観察される。よって、FAN83H過剰発現EMT様表現型提示がん細胞で発現変動する遺伝子は、FAM83Hの核スペックル局在化の影響を受ける遺伝子候補とした。一部実験計画に変更が有ったが、FAM83H核スペックル局在化の下流候補を複数特定することが出来たので、概ね研究は順調に推移したと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に、FAM83H核スペックル局在化に伴って、発現が変動する遺伝子の候補を、RNA-Seq解析で複数特定した。2024年度は、FAM83H変異タンパク質発現細胞および皮間葉転換(EMT)様表現型提示がん細胞において、候補遺伝子の発現が、CK1の核スペックル局在化を介して変動するのかどうかを、ウエスタンブロット法などで検証する。検証後、成果を国際学術誌で発表する。
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