研究課題/領域番号 |
21K09871
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
杉田 典子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30313547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | UCP / 歯周炎 / 遺伝型 / ミトコンドリア / 筋力 / 運動習慣 / 死亡リスク / 握力 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアのタンパク質の一種であるUCPは、骨格筋に多く存在し、エネルギー代謝を調節している。我々はこれまでの研究によって、UCP遺伝子タイプの生まれつきの違いが、重症の歯周炎と関連することを明らかにしたが、UCP遺伝子タイプは握力と関連するという最近の報告がある。握力は全身の筋力を反映し、死因別死亡リスクに関連する。筋量や筋力の低下は高齢化社会の大きな問題である。そこで本研究では、UCP遺伝子タイプと握力・全身の様々な病気・歯周炎との関連性を、高齢者を含む成人男女集団で調査する。加えて動物実験と細胞実験で、歯周炎が筋肉に及ぼす影響を調べ、UCPにそれを防ぐ作用があるか否かを検討する。
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研究実績の概要 |
ミトコンドリア内膜に存在する脱共役タンパク(Uncoupling protein: UCP)は、エネルギー代謝調節を司る。これまでにUCP遺伝子多型と、糖尿病や肥満などの全身疾患、さらには長寿との関連性が報告されてきた。我々は以前、閉経後女性集団を対象とした疫学研究においてUCP2およびUCP3遺伝子多型と重度歯周炎との間に有意な関連性を報告した。UCP2は白血球を含む多種の細胞に広く分布するが、UCP3は主に骨格筋細胞に強く発現している。UCP2およびUCP3遺伝子多型は全身の筋力の指標である握力レベルとも関連性を示すことが報告されている。そこで本研究では、新潟県佐渡市の佐渡総合病院外来患者である成人男女を対象とした臓器連関コホートプロジェクト(PROST)の一環として、UCP遺伝子多型と握力、全身疾患、歯周炎との関連性を解析することにした。 PROSTにおいては、全身疾患など医科データ、歯数、歯周炎の有無などの歯科データ、運動習慣を含む生活習慣などがデータベース化されているとともに、同意を得た参加者の血液からゲノムDNAを抽出し各種遺伝型をタイピングしている。我々は新潟大学遺伝子倫理委員会の承認を得て本研究を実施した。その結果、UCP2、UCP3遺伝型と重度歯周炎との関連性が、上記閉経後女性集団での結果に引き続きPROST参加者である成人男女でも明らかになった。一方でUCP1と重度歯周炎の間に関連性は認められなかった。本研究ではUCP遺伝型と糖尿病、肥満、脂質異常症との有意な関連性が見られなかった。またPROSTにおいては握力データを有する参加者の数が少なく統計解析が困難であった。しかし運動によりUCPの発現が増加するとの報告があることから、歩数計で計測した一日平均歩数および運動習慣アンケート結果とUCP遺伝型、歯周炎および歯数とUCP遺伝型との関連性を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UCP遺伝型との関連が知られている筋力の指標としての握力を解析する予定であったが、握力データを有する対象者数が少なく、COVID-19影響下で追加例の増加も期待できなかったため、計画を変更し、歩数計で計測した1日平均歩数とUCP遺伝型、全身疾患、歯周炎、歯数の関連性を解析することにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
歩数計で計測した一日平均歩数および運動習慣アンケート結果とUCP遺伝型、歯周炎および歯数とUCP遺伝型との関連性を解析するとともに、ヒト骨格筋細胞に発現するUCPが歯周炎において果たす役割を細胞実験で明らかにし、それぞれの結果を論文にまとめて英文学術誌に掲載する。
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