研究課題/領域番号 |
21K09872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 奈々子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10780819)
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研究分担者 |
高橋 雄介 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60397693)
北川 晴朗 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50736246)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 薬剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
新たな薬剤耐性菌の出現とその拡大が大きな問題となっているが、歯科領域で使用される抗菌成分に対する口腔細菌の薬剤耐性の獲得についてはまだ十分に解明されていない。そこで本研究では、実際に口腔内で使用されている抗菌成分に対する口腔細菌の薬剤耐性獲得の有無を検討するとともに、その耐性獲得機構を詳細に解析することを目的とする。すなわち、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、ホウ酸イオン、フッ素イオンに対する口腔細菌の耐性獲得について検討するため、各抗菌成分に長時間・複数回暴露したE.faecalisの遺伝子発現の変化について解析を行い、関連する遺伝子を特定することで耐性獲得機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
令和3年度は、Enterococcus faecalis ATCC29212に対するクロルヘキシジン塩酸塩の最小発育阻止濃度(MIC)をmicro dilution assayにて測定し、MIC判定時に増殖が認められたもののうち、最大濃度のクロルヘキシジン塩酸塩を含む細菌懸濁液を用いてEnterococcus faecalis ATCC29212を再度調整し、28回まで最小発育阻止濃度測定を繰り返した。その結果、クロルヘキシジン塩酸塩への28回暴露を繰り返し続けることにより、E. faecalis ATCC29212に対するクロルヘキシジンの最小発育阻止濃度は増加し、クロルヘキシジン耐性E. faecalis ATCC29212株を作成することに成功した。 令和4年度は、まず、PCRおよびリアルタイムPCRによりクロルヘキシジン耐性株と野生株のリボソームRNA配列を解析したところ、両菌株間で同様のリボソームRNA配列を持っていたことから、28回の継代培養を行ってもクロルヘキシジン耐性株に他種細菌の混入は認められないことを確認した。つづいて、RNAシークエンスにより、クロルヘキシジン耐性による遺伝子発現の変化を解析するため、クロルヘキシジン耐性株および野生株から抽出したトータルRNAサンプルから、rRNA除去法によりストランド特異的cDNAライブラリを調整し、Illumina NovaSeq 6000を用いて1サンプルあたり1400-1800万の150 bpペアエンドシーケンスリードを取得した。これらのPE FASTQファイルをさらにTrimmomaticを用いてトリミングした後、HISAT2によるシーケンスリードのマッピングを行い、featureCountsによる遺伝子ごとのリードカウントを経て、DESeq2による発現変動遺伝子の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の研究実施計画に則り、クロルヘキシジン耐性によるE. faecalis ATCC29212株の遺伝子発現の変化を検討した。しかし、長期間凍結保存したクロルヘキシジン耐性株を使用してRNAシークエンスを実施したことにより、当初想定していた遺伝子発現の変化が認められないことが判明した。 以上のことから本研究の進捗は、やや遅れていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に得られた結果に基づいて、クロルヘキシジン耐性E. faecalis ATCC29212株を新たに作成し、再度RNAシークエンスによりクロルヘキシジン耐性株の遺伝子発現の変化を検討する。
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