研究課題/領域番号 |
21K09882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
室町 幸一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (50637072)
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研究分担者 |
石井 信之 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20163610)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 象牙質・歯髄複合体 / BMP-1 / α2,6-sia / GCase / 歯学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、齲蝕にさらされた象牙質・歯髄複合体における新規創傷治癒因子の同定である。申請者のこれまでの研究から、ヒト齲蝕歯で修復象牙質形成とともに発現が亢進するBMP-1がヒト歯髄培養細胞のα2,6-linked sialic acid (α2,6-sia) 修飾を有意に減少させ、その本態がglucosylceramidase(GCase)であること、加えて通常はlysosomeに局在するGCaseが核に集積することを見出している。 そこでGCaseが転写因子様の機能を有すると仮定し、GCase結合遺伝子の探索を行い、象牙質・歯髄複合体の新規創傷治癒因子の同定と覆髄剤開発への展開を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、齲蝕にさらされた象牙質・歯髄複合体の創傷治癒におけるプロテアーゼを起点とした機序を解明することで、歯髄保存療法へ応用可能な新規標的分子の同定と機能解析を行い創薬への展開を目的としている。 これまでの研究から、齲蝕歯の象牙芽細胞様細胞および修復象牙質において発現が亢進するbone morphogenetic protein (BMP)-1がglucosylceramidase (GCase)を標的とすることを明らかにしている。 前年度はヒト歯髄培養細胞(hDPCs)においてGCaseがBMP-1によってlysosomeではなく核へ集積し、特にGCaseは核膜のみならず核内へも集積することを明らかにした。加えて、BMP-1によって細胞質画分のGCase活性の増減は認めない一方で、核画分のGCase活性が増加することを明らかにした。 続いて本年度はchromatin immunoprecipitation (ChiP)-seqによる新規GCase標的遺伝子の同定を計画していたが、現在も研究を遂行中である。 一方で、当初の予定にはなかったものの、前年度から遂行していたRNA干渉の条件が確立した。すなわち、hDPCsにおいてsiRNAによるGCaseのノックダウン系が確立したためRNA-seqによって解析したところ、BMP-1-GCaseはhDPCsにおいてDNA replicationなどに関与する複数の遺伝子の発現を制御することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、BMP-1によって核へ集積するGCaseが特に転写活性の高いeuchromatin領域に見い出されることからDNAと結合するものと仮定し、ChiP-seqによる網羅的解析を行うことで新規GCase標的遺伝子を同定する計画であった。しかしながら、サンプル調整の条件検討に時間を要し、現在も研究を遂行中である。 一方で、前年度から着手していたsiRNAによるGCaseのノックダウン系が確立できたため、hDPCsにsiGCaseを導入したのちにtotal RNAを抽出し、RNA-seqにて遺伝子発現を網羅的に解析したところ、BMP-1-GCaseはDNA replicationなどに関与する遺伝子の発現の制御に関与することを明らかにした。 従って、当初の計画とはやや異なるが新規のGCase標的遺伝子を同定しており、おおむね順調に計画は進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、ChiP-seqを遂行する予定である。 一方で当初計画していた次年度(令和5年度)の予定であるRNA干渉によるGCaseノックダウン系は確立したため、機能解析を中心に研究を推進する予定である。 すなわち、RNA-seq解析にて発現に有意差のみられたBMP-1-GCaseが関与する候補遺伝子のタンパク質発現をwestern blotにて確認する。 加えて、DNA replicationに関与する複数の遺伝子が候補にあることから、5-ethynil-2'-deoxyuridine (EdU)を用いてDNA合成量を解析する予定である。
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