研究課題/領域番号 |
21K09894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗原 英見 広島大学, 医系科学研究科(歯), 名誉教授 (40161765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高炭水化物食 / NAFLD / 歯周炎 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、歯周炎が非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の増悪因子となることが報告された。しかし、その分子機序は不明な点が多い。 その分子機序の探索のために、高脂肪食を与えてNAFLDを発症させる実験的マウスモデルに歯周炎を組み合わせる研究が行われてきた。しかしこのモデルでは、肥満・糖尿病といったその他のNAFLD増悪因子を併発するため、歯周炎とNAFLDの直接的因果関係を調べることが困難であった。 そこで本研究では、高炭水化物食を用いることで、肥満・糖尿病を併発せず、NAFLDのみ発症するマウスモデルに歯周炎を組み合わせることで、歯周炎とNAFLDの因果関係を詳細に示す新規的な研究である。
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研究成果の概要 |
本研究では、肥満や糖尿病を伴わない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)マウスモデルを高炭水化物食(HCD)を用いて樹立し、歯周炎がNAFLDに与える直接的な影響を明らかにすることを目指した。その結果、HCDは肥満や糖尿病を引き起こさずに脂肪肝を誘発することが確認された。さらに、そのHCD誘発NAFLDマウスモデルに、実験的結紮結紮歯周炎を併用すると、肝臓の脂肪蓄積が顕著に増加し、歯周炎がNAFLDを悪化させることが明らかになった。 この結果から、歯周炎は肥満や糖尿病の増悪を介することなく、直接的に肝臓代謝に影響を及ぼし、NAFLDの病態を悪化させることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの高脂肪食誘導性NAFLDマウスモデルは、糖尿病・肥満を併発するものであった。実臨床での患者ケースを良く模倣している一方で、実験ツールとしては複数の因子が絡み合うため、歯周炎による肝臓代謝への直接的影響の解明には適さなかった。 本研究で樹立した、高炭水化物誘導性NAFLDマウスモデルは、糖尿病・肥満が成立する前に脂肪肝を呈するため、歯周炎の直接的な影響検証に有効な新規実験ツールとなる。実際に、本モデルを用いて、肝臓に移行した歯周病原性細菌が肝臓代謝障害の原因となることを見出しており、将来の新規NAFLD予防・治療法開発のための基盤となる知見を提供できたことの意義は大きい。
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