研究課題/領域番号 |
21K09896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
湯本 浩通 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60284303)
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研究分担者 |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (60545143)
尾崎 和美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90214121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Outer Membrane Vesicle / 歯肉上皮細胞 / 炎症性サイトカイン / シグナル伝達 / NF-kB / 歯槽骨吸収 / MAPK / 歯周病 / 病原細菌 / 歯周医学 / ベシクル / 重症化予防 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、細菌感染症である歯周病と様々な全身疾患との関連(歯周医学)が示され、QOLの向上・健康寿命延伸の為に、口腔から全身の健康へ寄与する医科歯科連携の重要性が叫ばれている。本研究では、未だ十分に解明されていない歯周医学に関する原因・メカニズムとその予防法について、細菌から放出され微小銃弾として機能し、様々な病原因子や核酸を含有するOuter Membrane Vesicle (OMV)に着目し、歯周病の全身への波及過程とその予防の両観点から、細胞生物学的・分子生物学的及び薬化学的に、OMVが含有する様々な病原因子の同定と役割を解明し、その機能を抑制する新規予防法を確立する。
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研究実績の概要 |
歯周病原細菌由来Outer Membrane Vesicle (OMV)の病原性と機能解析:歯周病のKey Stone細菌であるPorphyromonas gingivalis (Pg)以外の歯周病原細菌が産生する OMV も STING を介した経路で IL-6 及び IL-8の 産生を活性化するか調べるために,ヒト歯肉上皮細胞株(OBA-9 細胞)を用いて Pg-OMV と Fn-OMV の病原性を比較した。Fn-OMVは,Pg-OMVよりも有意に強くOBA-9細胞のIL-6及びIL-8産生を誘導した。また,STING特異的siRNAによるdownregulationは,Pg-OMV及びFn-OMVによって誘導されるIL-6及びIL-8の産生を64%有意に抑制した。これらの結果は,Pg特異的ではなく,Fn等の歯周病原細菌由来OMVに含まれる核酸によってSTING経路が活性化されることを示唆している。STING特異的siRNAで処理したOBA-9細胞では,Pg-OMVまたはFn-OMVで刺激後にNF-kBのリン酸化がsiRNAコントロールと比較してわずかに減少した。これらの結果は,Pg-OMVまたはFn-OMVによって誘導されるIL-6及びIL-8産生は,OMVに含まれるDNAによるSTING経路を部分的に介してNF-kBシグナルの活性化をもたらしている可能性を示唆している。さらに,歯周炎モデルラットを用いてOMVの歯槽骨吸収に対する影響も検討したin vivo実験の結果,Pg-OMVsを歯肉に注入した群は,健常群と比較して有意に歯槽骨の吸収が認められ,その程度は,絹糸結紮歯周炎群と同程度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.歯周病のKey Stone細菌であるPorphyromonas gingivalis (Pg)以外の歯周病原細菌であり,異種菌種との橋渡し(Bridging)としてDental Plaque形成においてKeyとなるFusobacterium nucleatum由来OMV (Fn-OMV)は,Pg-OMVよりも有意に強くOBA-9細胞のIL-6及びIL-8産生を誘導した。 2.STING特異的siRNAによるdownregulationは,Fn-OMVによって誘導されるIL-6及びIL-8の産生を有意に抑制した。さらに,STING特異的siRNAで処理したOBA-9細胞では,Pg-OMVあるいはFn-OMVで刺激後にNF-kBのリン酸化がsiRNAコントロールと比較してわずかに減少した。これらの結果は,歯周病原細菌由来OMVに含まれるDNAが,STING経路を部分的に介してNF-kBシグナルを活性化することにより,炎症性サイトカインの発現誘導をもたらしている可能性が示唆された。 3.Ratの上顎第二大臼歯頬側歯肉にPg-OMVsを注入したin vivo実験では,健常群と比較して有意に歯槽骨の吸収が認められ,その程度は,絹糸結紮歯周炎群と同程度であった。 当初の研究実施計画と上記の結果を考慮すると,おおむね順調に研究は進展していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
1.歯周病原細菌由来OMVの破骨細胞分化への影響に関して,マウスマクロファージ細胞株(RAW264.7)を用いて,破骨細胞分化マーカーの発現をreal-time RT-PCRやWestern blot法やTRAP染色を用いて解析中である。 2.MPC-polymerでヒト歯肉上皮細胞株をCoatingすることにより,歯周病原細菌由来OMVの炎症性サイトカイン誘導能を抑制効果について,ELISA法等を用いて解析を行い,臨床応用への可能性について検討を行っている。 3.歯周病原細菌由来OMVを注入したマウスの歯肉中の炎症や組織破壊に関する分子の発現・局在については,real-time RT-PCR,Western blot法やELISAにて解析し,in vivoでのOMVの歯周病の発症および進行における役割を検討する。 4.歯周病原細菌由来OMVによる歯肉上皮細胞バリア機能破綻への影響に関して、Tight JunctionやGap Junction等のバリア機能を担う分子の発現や分解を分子生物学的に解析すると共に、上皮透過性の機能試験も実施する。
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