研究課題/領域番号 |
21K09897
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山下 明子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70511319)
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研究分担者 |
佐野 朋美 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 歯肉増殖症 / 歯周病 / SPOCK1 / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではSPOCK1の受容体候補の結合タンパクを探索し、次いでSPOCK1のシグナル伝達経路を検討する。これらの結果を基盤として、SPOCK1過剰発現マウスへ受容体候補分子やシグナリングに関わる分子群の抗体や阻害剤を投与し、歯肉増殖症や肥満の発現への効果を検証することを目指す。本研究成果は、歯肉増殖症のみならず肥満やメタボリックシンドロームの発症に関わるSPOCK1の作用機序を解明するという学術的意義に加えて、歯肉増殖症や肥満の新たな治療標的を見出せる可能性がある。更に将来的には癌の転移の研究や治療法の開発にも繋がる可能性を秘めている。
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研究実績の概要 |
これまでに申請者らは、歯肉増殖症においてSPOCK1が上皮間葉転換(EMT)に関与することでその病因に関与すること、更にSPOCK1が脂肪細胞の成熟を促して脂肪組織の肥大化に関わる可能性があることを報告した。しかし、上皮や脂肪細胞におけるSPOCK1の特異的受容体やそのシグナル伝達経路などの詳細は不明であるため、解析の計画を立案し実施した。これまでの実験により、SPOCK1は分化誘導時に3T3-L1細胞に発現するレセプターに結合し、それに続くシグナルを活性化する可能性が示唆された。この結果をもとに同細胞の分化誘導時のSPOCK1刺激有無のサンプルで、プロテオミクス解析を実施した。今回の解析ではSPOCK1刺激有無で約50種類のタンパク発現に変動が認められた。 一方、SPOCK1、歯周炎症、シクロスポリン-A(CsA)が協調して歯肉の増殖を促進するかを検討した。まず、Spock1過剰発現マウスは、実験的歯周炎に対して、野生型マウスよりも有意に歯肉が肥厚し、歯槽骨の減少が大きいことを確認した。Spock1過剰発現マウスでは、CsAを併用することで薬物性歯肉増殖が誘導され、実験的歯周炎が野生型マウスに比べて有意に増強した。CsA投与Spock1過剰発現マウスにおける実験的歯周炎による歯槽骨喪失も、CsAを投与したWTマウスと比較して有意に大きく、同時にRanklとCol1a1レベルの上昇とマトリックスメタロプロテアーゼ発現の低下を伴っていた。最後に、SPOCK1はヒト末梢血単核球とマウスマクロファージの両方においてRANKL誘導破骨細胞分化を促進し、Spock1過剰発現マウスの腹腔マクロファージはLPSに反応してTNFαとIL-1βの分泌が野生型マウスより少なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロテオミクス解析のサンプルの条件検討時、仮説と一部異なるデータを得たため、条件策定に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画書と比較して条件設定にやや時間を要したが、その他細胞培養、マウス飼育などに問題は生じていない。研究実施計画に準じて研究の遂行を目指したい。
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