研究課題/領域番号 |
21K09909
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川本 千春 北海道大学, 大学病院, 助教 (60301909)
|
研究分担者 |
樋田 泰浩 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30399919)
星加 修平 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40581682)
佐野 英彦 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90205998)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 塩化セチルピリジニウム / CPC / 新型コロナウイルス / 継時的変化 / 徐放性 / SARS-CoV-2 / 検量線 / 臨床研究 |
研究開始時の研究の概要 |
食品添加物である塩化セチルピリジニウム(CPC)が,新型コロナウイルスをはじめとするウイルスに対して有効かどうかを調べるため,ウイルスに感染している可能性のある者から採取した唾液中のウイルス量を調べる.また,市販のCPC製品を用いて,使用前後における唾液中のCPCの経時的な濃度変化を調べる. 以上の結果を用いることで,ウイルス感染症予防効果の理論的根拠とする.
|
研究実績の概要 |
研究代表者川本千春は前年度に作成した検量線をもとに分光光度計を用いて塩化セチルピリジニウム(Cetylpyridinium Chloride: CPC)の効果持続性を測定した。市販されている製品のCPC徐放性を測定したところ、徐放性が認められるのは長くとも測定開始から3時間までであった。そこで、特定の物質と混合させることで測定を行い、ある条件下でCPCが数時間単位で有効濃度を維持することができることが明らかとなった。その後、実験データをもとに新型コロナウイルスに対して有効とされる濃度を4時間維持することができるゲルを開発し特許を出願した。 in vivoにおける唾液中におけるCPC製品の経時的濃度変化に関する研究では研究代表者川本千春が主体となって、吐出した唾液に対してCPCを含む製品を静置し、分光光度計を用いて経時的な濃度変化を測定した。対照群では唾液の代わりに蒸留水を用いた。結果として、同じ製品であっても唾液中と蒸留水中では徐放性に違いが認められた。今後、条件を変えて追試験を行い、その違いの要因を考察する。 一方、研究分担者樋田泰浩、佐野英彦らが中心となって前年度に引き続きSARS-CoV-2に対するマウスウォッシュ中の塩化セチルピリジニウムの抗ウイルス効果に関する研究を進め、Scientific Reports誌に原著論文を投稿した。実験の中でCPC の濃度が低いと、ヒトから分離された SARS-CoV-2 株 (武漢、アルファ、ベータ、ガンマ) の感染性が唾液中でも抑制されることが明らかとなった。さらに、ショ糖密度分析と電子顕微鏡検査を使用して、CPCがウイルスエンベロープを破壊することなく抗SARS-CoV-2効果を示すことを実証できた。結論として、CPCが低濃度でもSARS-CoV-2感染を阻害する可能性があるという実験的証拠を提供することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度だけで見れば研究成果より得られたデータをもとに特許申請並びに論文投稿を行うことができたが、新型コロナウィルスの全国的な感染拡大により当教室へも影響が出たため、研究に遅延が生じた。理想としては学会発表も行いたかった。また、前年度分の若干の遅れを十分に挽回するに至れなかったことも要因と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者川本千春は特許に関する追加データを得るため追試験を実施する。特許認可後は学会発表・論文投稿の準備を進める。また、in vivoにおける唾液中におけるCPC製品の経時的濃度変化に関する研究では条件を変えて追試験を行い、その違いの要因を考察する。 今後は研究成果を発信するとともに若手研究者に学会発表の機会を与えたいと考えている。
|