研究課題/領域番号 |
21K09910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
折本 愛 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (30710967)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 無限分裂ヒト歯髄幹細胞 / 無限分裂歯髄幹細胞 / ヒト歯髄幹細胞 / 無限分裂細胞 / 無限分裂化歯髄幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
歯髄を喪失すると、歯の強度と機能が低下し、歯の喪失リスクが増大する。しかし、現状では、深い齲蝕や歯髄炎に対して歯髄を除く「抜髄」治療が広く行われている。抜髄を回避するためには、傷害が歯冠部等の局所歯髄に限局している間に炎症を制御し、残存する歯髄を再生させる新規治療法の開発が必要である。これに関する研究の最終目標は、歯髄を構成する各細胞種の炎症応答を統合的に制御し、象牙質・歯髄複合体を局所再生する治療法の開発である。最終目標に到達するために、本研究では、象牙質-歯髄複合体の創傷治癒・再生メカニズムを包括的に解析するための無限分裂ヒト歯髄幹細胞を応用したin vitro研究システムを確立する。
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研究実績の概要 |
歯髄幹細胞は、様々な組織に分化する能力を保持し、脱落した乳歯や智歯等の抜去歯から採取可能なため、入手しやすい細胞治療の細胞源としての期待が高まっている。歯髄幹細胞の分化制御メカニズムの全貌は、未だ明らかにされていない。歯髄幹細胞研究は乳歯・智歯から採取した初代細胞を用いることが多いが、初代培養細胞は、ある一定回数の細胞分裂後に細胞老化によって性質が変化するため、研究材料としての利用には限界がある。これまでに申請者は、K4DT法 (変異型CDK4,サイクリンD, TERT)という無限分裂方法を用いて、無限分裂ヒト歯髄由来幹細胞hDPSC-K4DTの樹立に成功している。しかし、細胞の増殖と分化はお互いに相反する細胞現象であり、細胞増殖を強く誘導する変異型 CDK4、サイクリン D(K4D)の外来遺伝子導入細胞は、歯髄幹細胞の分化制御メカニズムの解明研究や象牙質再生研究には不向きである。そこで本研究では、本課題を克服することを目的として、ドキシサイクリン(Dox) という低分子化合物によって、K4D 遺伝子発現のオン/オフを制御できる薬剤誘導型発現ベクターを作出し、薬剤誘導型無限分裂ヒト歯髄幹細胞Tet-off K4DT hDPSCs(以下、Tet-off K4DT)の樹立に成功した。Tet-off K4DT細胞にDoxを培地に添加すると、無限分裂を誘導する変異型CDK4、サイクリンD遺伝子の発現がOFFになり、分裂が停止するため、分化誘導研究で欠かせない長期培養の確立が可能となることを示した。一方、Doxを抜くと導入遺伝子がON、未分化なまま無限に増殖できることを明らかにした。以上より、本研究で作出した薬剤誘導型無限分裂ヒト歯髄幹細胞は、長期間の細胞培養が可能となり、歯髄幹細胞の分化制御メカニズムの解明研究や象牙質再生研究に貢献できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科学研究費助成事業補助事業期間を1年間延長したことにより研究実施計画の変更を行ったため、申請時の予定よりは進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤誘導型無限分裂ヒト歯髄幹細胞の軟骨細胞や脂肪細胞への分化能力についても検出を行い、歯髄幹細胞の分化制御メカニズムを精査していく。
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