研究課題/領域番号 |
21K09921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中山 洋平 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30434088)
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研究分担者 |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞間相互作用 / 歯周組織構成細胞 / 歯肉接合上皮 / アメロチン / 共培養システム |
研究開始時の研究の概要 |
歯周組織構成細胞を共培養することで,間接的細胞間相互作用によって生成される液性因子を分析する。歯周組織構成細胞の細胞間相互作用による歯肉接合上皮特異的遺伝子発現の転写調節機構を解析し,歯肉接合上皮細胞の調節機構の解明する。逆にセメント芽細胞および歯根膜線維芽細胞を調節しうる,歯肉上皮細胞産生液性因子を明確にする。これらの成果は,歯肉接合上皮の歯面接着機構へ応用でき,再生療法治癒時に自然生成される液性因子の同定を可能にさせる。Conditional mediumを用いた研究成果を加え,歯肉接合上皮歯面接着能を利用した歯周病重症化予防治療の確立,歯周組織再生療法時の根面処理剤への応用が期待できる。
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研究実績の概要 |
炎症などの体外刺激に対して,歯肉接合上皮は歯面接着機構の恒常性を維持する。歯周病の治癒の際には,由来も性質も異なるセメント質,歯根膜および結合組織が協調して歯周組織が再構築していく。しかし,これら互いに近接する歯周組織間の細胞間相互作用は不明である。今回の研究は,歯肉上皮細胞,セメント芽細胞および歯根膜線維芽細胞3種の細胞から得られたConditional mediumを用いて,歯肉接合上皮の恒常性維持に関するセメント質および歯根膜からの細胞間相互作用に関わるマーカー遺伝子の発現変化を解析することを目的としている。 歯肉上皮細胞として不死化ヒト歯肉上皮細胞(TIGKs-hTERT,以下TIGKs)をDCBMで培養した。歯根膜細胞にはhTERT-HPL(以下HPL)を使用し,セメント芽細胞としてhTERT-HCEM(以下HCEM)を使用した。HPLとHCEMはαMEMで培養し,80%コンフルエント後に無血清培地に交換し,その後,TIGKsの培養に使用する培地であるDCBMに換えて72時間培養した。培地はフィルターにかけて回収し,それぞれの細胞からのConditional medium(C-CMおよびP-CM)とした。同様にTIGKs培養後の培地はT-CMとしてコントロールとした。TIGKsを培養し,T-CM,C-CMおよびP-CMで48時間刺激して,回収した細胞からRNAを抽出した。Real-time PCRの結果,C-CMおよびP-CMで48時間刺激後,歯肉接合上皮特異的遺伝子であるAmtnおよびLamβ3 mRNAレベルが増加した。同様にP-CM刺激48時間でFDC-SP mRNA量は有意に増加した。 次に,これらC-CMやP-CMによる歯肉接合上皮特異的遺伝子の発現変化に関わる細胞内シグナル伝達系を検索するため,マイクロアレイ解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養は今までの研究で培ってきた方法および技術を用いているため,問題なく行うことが出来ている。マイクロアレイ解析に使用したRNAに関しても,nano dropを用いて質が良好であることを確認済みである。マイクロアレイ解析では,各CMによる歯肉接合上皮特異的遺伝子の調節に関わる細胞内シグナル伝達系を5つに絞り込むことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析で絞り込むことが出来た細胞内シグナル伝達系に関する候補遺伝子を整理し,各遺伝子のReal-time PCRのプライマーを設計する。それらの候補遺伝子のReal-time PCRを行い,CMによる各候補遺伝子の増減を確認する。 確認できた細胞内シグナル伝達系に関連する遺伝子のインヒビターあるいはsiRNAを購入し,CMによる歯肉接合上皮特異的遺伝子の発現に関わる細胞内シグナル伝達系を同定する予定である。 また,同様にCM刺激したTIGKsから細胞質内および核内タンパク質を抽出し,プロテオーム解析を行い,網羅的に細胞内シグナル伝達系に関するタンパク質および転写因子の同定を行う予定である。
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