研究課題/領域番号 |
21K09922
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高井 英樹 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30453898)
|
研究分担者 |
小方 頼昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | miRNA / 転写因子 / 分化誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周組織(歯槽骨、歯根膜、歯肉およびセメント質)の再生療法には、未分化間葉系幹細胞から個々の組織を構成する細胞の分化・誘導を解明する必要がある。未分化間葉系幹細胞は骨関連の転写因子や骨形成因子が働くことで骨芽細胞に分化・誘導される。近年、遺伝子発現に対し、これらの転写調節に加え、20~25塩基長のmiRNA(miR)による転写後の発現調節によるタンパク質合成量の調節機序が明らかになり、骨芽細胞の分化・誘導に対しても報告されてきている。またmiRNAは、標的mRNAの3'-UTR(非翻訳領域)に結合することにより遺伝子発現を制御することが知られている。
|
研究実績の概要 |
歯周治療中に抜歯となった歯の歯根膜を採取し、ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL)を 抽出し、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むDMEMを用いて継代3~6までHPDLを培養した。また、歯周組織構成細胞(特に歯肉線維芽細胞(HGF)および歯根膜線維芽細胞(HPDL))で骨芽細胞より優位に発現しているTwist2およびKlf12の3'-UTRに結合するmiRNAを公開データベースのTargetScanにて検索し、両遺伝子の3'-UTRに結合するmirRNAはmir141および200aであることを確認した。次に、mi141および200aが結合するTwist2およびKlf12の3'-UTR をPGL3 promoterルシフェラーゼプラスミドに挿入し、シークエンス解析を行い、正しい配列が挿入されたか確認した。正しい配列が挿入されたルシフェラーゼプラスミドを挿入したHPDLはmi141または200aを細胞内に4時間導入後、10%FBSを含むDMEMで68時間細胞培養し回収後にルシフェラーゼ活性を計測すると活性は抑制された。さらに、HPDLを様々な大きさのディッシュに播種し、mir141または200aを細胞内に4時間導入後、10%FBSを含むDMEMで68時間細胞培養したHPDLを回収し、全RNAおよびタンパク質を抽出し、間葉系細胞に発現する転写因子RNAおよびタンパク質量をReal-time PCRおよびWestern Blotにて検索を行った結果、Twist2およびKlf12mRNAおよびタンパク質量を減少させ、Sox5、Sox6およびTrips1 mRNAを増加させ、Sox5およびSox6タンパク質を増加させた。さらに、mir141または200aを過剰発現させた細胞で、軟骨分化マーカーのACANmRNAの増加および線維化マーカーのCOL1A1 mRNAの減少を引き起こし、細胞はアルシアンブルー染色で青く染色された。このことから、HPDLを軟骨細胞様細胞に分化誘導させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯肉線維芽細胞(HGF)の継代培養に成功し、研究を完了するのに十分な細胞を確保できた。また、歯周組織構成細胞で高発現しているTwist2およびKlf12を抑制するために、siTwist2およびKlf12を細胞内に4時間導入後、10%FBSを含むDMEMで68時間細胞培養し、回収したHGFから抽出した全RNAおよびタンパク質を用いて間葉系細胞に発現する転写因子の発現について検索した結果、siTwist2でTwist2の発現量の抑制した場合、Dlx5およびRunx2の発現量の増加を確認できた。さらに、HGFと比較して、骨芽細胞であるSaos2細胞でmiR200aの高発現を確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
歯肉線維芽細胞(HGF)を10%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含むDMEMを用いて継代3~6まで培養し、歯周組織構成細胞で高発現しているTwist2を骨芽細胞で高発現しているmiR200aにて抑制することで、HGF内で骨芽細胞で高発現するDlx5やRunx2が増加するか確認し、HGFが骨芽細胞に分化誘導されるか解析する。
|