研究課題/領域番号 |
21K09923
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
平塚 浩一 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80246917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 抗菌的光線力学療法 / 微生物 / 病原性 / LED / レーザー / a-PDT / 遺伝子発現 / Candida albican / 抗菌的光線力学治療 / Candida albicans / 光線力学治療 / 口腔細菌 / カンジダ / 歯周病 / 細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
近年歯科治療において,半導体レーザーや発光ダイオード(LED)に光感受性色素を組み合せた抗菌的光線力学治療(a-PDT)が検討されており,従来の機械的除菌治療を補完しうる新たな術式として発展が期待されている。一方で,その効果やメカニズムに関して不明な点も多く,今後益々,基礎・臨床両面からの検討が必要な分野でもある。 本研究は,一般的に数多く検証されている光線力学療法の口腔細菌への静菌・殺菌効果にとどまらず,細菌の病原性変動に焦点をあて,遺伝子発現解析法およびその他の形態学的・生化学的解析法を用いて病原性を検証し,将来的に歯科臨床の場での新たな光線力学療法の応用の拡大の可能性を見出す。
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研究実績の概要 |
半導体レーザーや発光ダイオード(LED)に光感受性色素を組合せた抗菌的光線力学治療(a-PDT)が,従来の機械的除菌治療を補完しうる新たな術式として発展が期待されているが,これまでの研究の多くは殺菌効果を検証したものである。一方で殺菌性は乏しくても病原性を低下させる可能性があれば,それは大きなレーザー効果となる。またその評価を実施した報告はほとんどない。そこで本研究は,光線力学療法による静菌・殺菌効果に加え,微生物の病原性変化に焦点をあて,レーザー単体での照射(PDT)や色素との組合せによるa-PDT療法による病原性遺伝子・タンパク質の発現変動,形態学的変化を総合的に検証し,歯科臨床の場での新たな光線力学療法の応用の拡大の可能性を探る。 歯周疾患はさまざまな微生物で構成される複雑なバイオフィルムが原因となり,グラム陰性嫌気性菌などの口腔細菌が特定されている。さらに最近、細菌のみならず,ウイルスや真菌が歯周炎の原因となりうる可能性が報告されている。真菌では高齢者での日和見感染として知られているCandida albicansが着目されており,高齢でない成人の歯周ポケット内でも検出され,細菌バイオフィルムの形成を容易にし,促進する可能性や,バイオフィルムそのものの構成因子となる可能性が指摘されている。 本研究の目的は、バイオフィルム形成とC. albicansの関連の解明と,LEDレーザーによるバイオフィルム形成に対する効果を検証することである。C. albicansは酵母型から菌糸型に変化することで,一層,バイオフィルム形成に関わっていく可能性が高いと考えられることから,本年度は,菌糸形成の条件下でLEDレーザーによる抑制効果を光学顕微鏡にて観察・検証した。同時に真菌よりRNAを抽出しカスタムマイクロアレイの作成を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LEDレーザーの効果の検討内容の1つに,Candida albicansの増殖に与えるレーザー効果がある。C. albicansを培養後,生食でOD=1.00に調整しRPMI液体培地およびサブロー液体培地にて,30℃および37℃にて培養を行い1時間ごとに濁度変化を計測するものであり,最長で3日間程度の観察が必要と思われるため,自動で計測可能な濁度計を模索していた。2つ候補を見つけ,予備実験を行い,よりハンドリングが良く測定結果が正確な機器を決定し発注したものの,該当機器の製造元がヨーロッパの一国(チェニジア)であったため,コロナ禍のため国内での輸入制限がかかり,入手までに約半年を要したことが研究の遅れに繋がっている。 加えて,昨年度から課題であった真菌からのRNA収量の少なさに関しては,マイクロアレイおよびリアルタイムPCRによる遺伝子発現解析を考えた場合大きな問題となる。手間はかかるが培養量を増やすことや,真菌の細胞壁溶解液の使用等をさらに試行錯誤している。いろいろ検討はしてみるものの,未だに最良の結果は見出せず,さらなる工夫が必要となっている点が,研究計画全体が遅延した理由の一つである。昨年度,真菌用のMatrixビーズが見つかり,より破壊効率の高い適正ビーズが手に入り若干ではあるが進展した。現在は,コロナ禍のために半年ほど遅延して入手できたPCと遺伝子発現解析ソフトにより,C. albicansのカスタムマイクロアレイ遺伝子発現プロファイルの調査を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
複数種のレーザー照射によるC. albicansへの様々な効果について調査する。(1)酵母増殖に対するレーザー照射の影響を確認する; 酵母を培養し濁度(OD600)を1に調整する。複数種のレーザーを照射後1時間ごとに最大3日間,濁度変化を測定する。コントロールは非照射群とする。変化がある場合には,レーザー照射による影響が短期間で現れる可能性が高いため,照射後5分から2時間までの間の経時的なRNAを回収し,増殖に関連する遺伝子を中心に遺伝子発現量の変化をリアルタイムPCRで確認する。加えて,照射による生死判定を行うために,寒天培地上でのコロニー数の算定を行う。 (2)酵母型から菌糸型への変化に対するレーザー照射の影響を調査する; 予備実験で得られた酵母型から菌糸型への条件下で,事前に複数種のレーザー照射を行なったC. albicansを経時的に追跡し,菌糸型への変化した割合を測定し,非照射群と比較する。変化が確認できた照射群に関してはRNAを抽出し,遺伝子発現の変動を確認する。(3)菌糸発育に対するレーザー照射の影響を検証する;あらかじめ菌糸を伸ばしたC. albicansを用意し,複数種のレーザー照射を行ない10日間菌糸の長さを測定・観察する。
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