研究課題/領域番号 |
21K09945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
大熊 理紗子 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (50804887)
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研究分担者 |
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 講師 (20410053)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (40367305)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 破骨細胞 / TGF-β / カップリング / リモデリング / カップリング因子 |
研究開始時の研究の概要 |
正常な骨量を保つためには、破骨細胞による骨吸収で失われた分を骨芽細胞による骨形成で埋め戻すカップリング機構が働かなければならない。このカップリング機構を調節する因子はカップリング因子と呼ばれ、骨吸収によって産生または活性化され、骨形成を促進するような働きをする因子であると考えられている。 本研究では、破骨細胞による骨吸収時において、骨基質内の生理活性物質であるトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)がどのような動態を示すのかを組織学的・細胞生物学的に検証し、骨代謝のカップリング機構を解明する。
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研究実績の概要 |
骨基質中には不活性状態の潜在型TGF-β(latent TGF-β)が豊富に含まれており、破骨細胞による骨吸収が起こると、骨基質中のlatent TGF-βが放出されて活性型TGF-βに変換される。この現象をin vitroで再現し、TGF-βが破骨細胞自身に与える影響を検討することが本研究の目的である。 我々はlatent TGF-βを培養プレート表面に結合させ、その上にCaをコーティングすることで骨基質中のlatent TGF-βを再現した。このlatent TGF-β結合Caプレート上でマクロファージ由来RAW264細胞をRANKL存在下で培養し、破骨細胞に分化させた後、各種実験を行った。 骨吸収の様子をPit Assayで測定した結果、TGF-β含有プレートでは骨吸収の割合がcontrolよりも有意に高かった。さらに、遺伝子発現の変化を検出するため、定量的RT- PCRを行った。その結果、破骨細胞分化関連遺伝子、骨吸収関連遺伝子の発現がTGF-βによって有意に上昇していた。 本年度は、骨芽細胞活性化に関連している遺伝子発現の変化を検出するため、定量的RT-PCRを行った。その結果、Wnt1、Wnt10b、LIFなどにおいて、TGF-β添加群では遺伝子発現が上昇していた。さらに、CaPプレートごとパラフィンに包埋し、切片を作製して形態学的・組織学的解析を行った。その結果、CaPプレート上での破骨細胞は生体に近い形態をしていることが観察された。そして、TGF-β含有プレートでは、controlに比べ、TRAP染色の染色強度が高く、免疫染色にて、ATPase C1、Cathepsin K、Wnt1といった関連タンパク質が有意に上昇していた。以上より、TGF-βは破骨細胞の分化や、骨吸収、骨芽細胞活性を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた以下の2つの項目について達成することができた。①Wnt1などの骨芽細胞活性化関連遺伝子の定量的PCRを行う。また、定量的PCRによって得られたデータをもとに、関連因子の、②組織学的解析(細胞骨格の観察、免疫染色など)を行い、TGF-βが破骨細胞の形態に影響を与えているかの検討や、タンパクレベルで変化があるか検討を行う。このことから、TGF-βがタンパクレベルでも破骨細胞の骨吸収や、骨カップリング因子と言われているWnt1に対しても影響を及ぼすことが明らかとなった。これにより、本研究の目的の1つが達成された。
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今後の研究の推進方策 |
TGF-βが破骨細胞に与える影響については明らかになってきたので、今後は以下の2つの実験を予定している。①TGF-β含有CaPプレート上で培養した破骨細胞が、骨吸収を行うことによって放出するTGF-βの量を、培養上清を回収し、解析する。②さらに、得られた培養上清を骨芽細胞や骨細胞に添加することによって、どのような影響があるのか、検討を行う。 以上によって得られたデータと、これまでに得られたデータをまとめ、論文作成へ向けていきたい。
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