研究課題/領域番号 |
21K09971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石山 希里香 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20712904)
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研究分担者 |
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30302160)
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 創傷治癒 / プロアントシアニジン / ポリフェノール / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ブドウの種子から抽出されるポリフェノールの一種であり、機能性食品の成分としても注目されているプロアントシアニジンという物質を応用した創傷治癒促進技術の研究を行う。これまでの研究において、線維芽細胞をプロアントシアニジン溶液で短時間処理することでその後の細胞増殖が促進されることを発見した。そこで本研究では、先行研究で得られた知見を基に創傷治癒促進技術として発展させる。また、分子生物学的なメカニズムを解明するとともに、免疫抑制動物においても創傷治癒促進効果を実証し、免疫が低下した高齢者の口内炎や抜歯窩の創傷治癒といった老年歯科医学分野への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
初年度は、0.5 gm/mLで調製したプロアントシアニジン水溶液による60秒間処理のin vitro創傷治癒促進効果の優位性を実証することができなかった。そこで、今年度は、濃度と処理時間を変えて同様の実験を行った。プロアントシアニジンの濃度を0.25, 0.5, 1.0, 2.0 mg/mLとし、処理時間を60秒間、120秒間、180秒間とした。プロアントシアニジン(Leucoselect, Indena)を生理食塩水に0.5 mg/mLとなるように溶解し、0.2 umのフィルターで除菌後、細胞試験に用いた。CytoSelect Wound Healing Assay kit(Cell Biolabs)を用いて、24-wellセルカルチャープレートにモノレイヤー創傷モデル(0.9 mm幅の一定のギャップ)を作製した。ハムスター肺由来線維芽細胞(V79)およびマウス線維芽細胞(3T3-L1)を用いて創傷モデルをプロアントシアニジン溶液で処理後、新しい培地をウェルに入れて培養を行った。処理後24時間で位相差顕微鏡を用いて創傷部位(ギャップ)の閉鎖を観察してImage Jを用いた画像解析を行い、創傷部位の閉鎖率を決定した。その結果、プロアントシアニジン処理によるいずれの細胞の創傷モデルにおいても創閉鎖率に有意な差は認められなかった。そこで、プロアントシアニジンに加えて他のポリフェノール水溶液(生理食塩水に溶解)を用いた実験を追加で実施した。実験には、水溶性ポリフェノールである没食子酸、カフェイン酸、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを用いた。0.5 mg/mLのカフェイン酸による60秒間処理で創閉鎖率がコントロール(生理食塩水処理)よりも高くなる傾向が認められた。今後、再現性を確認しin vivo創傷モデルで用いるポリフェノールの選択と処理条件の最適化を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロアントシアニジンによる細胞増殖促進効果(創傷治癒促進効果)がin vitroの試験で認められず、処理条件の幅広い検討を行っているため研究の進捗に遅れが生じている。プロアントシアニンジンのみならず、植物由来のポリフェノールによる効果を検証してきたが、想定している効果が明確には認められていない。今後も類縁物質を用いて創傷治癒を促進させるための処理条件の探索を行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者と協力し、これまでよりも多くの処理条件を試験しすることでin vitro創傷モデルで創閉鎖促進効果を示すポリフェノールのスクリーニングを行う。研究分担者とは定期的に報告会を実施して情報共有を行い課題解決に取り組む。
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