研究課題/領域番号 |
21K09975
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青柳 裕仁 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30460140)
|
研究分担者 |
金谷 貢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40177499)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | ジルコニア / 表面改質 / メタライズ / チタン / スパッタ |
研究開始時の研究の概要 |
今般の貴金属の高騰,歯科界での急速なデジタル技術の発展等の問題から,CAD/CAMシステムを用いたセラミックスによる補綴治療が大幅に増加している.特にジルコニアは機械的強度に優れていることから,接着性ブリッジへの応用や研究がなされているが,現在推奨されている合着法ではサンドブラスト処理が必要であるため,相転移の誘起やマイクロクラック発生により歯冠補綴物に疲労破壊が生じる問題がある. 近年工業界では,メタライズによるジルコニアへの表面改質法が研究されており,上記問題点が解決する可能性が見いだされた. そこで本研究の目的は,メタライズを応用した新規ジルコニア表面改質法を開発することである.
|
研究実績の概要 |
メタライズを応用したチタンスパッタによる新規ジルコニア表面改質法に関して、メタライズ層の至適な皮膜厚さについての検証を引き続き行った。 工業界では、非金属の表面を金属膜化する手法(メタライズ)により、チタンろうを用いたジルコニアへの表面改質に関する研究がされているが、歯科用材料として用いられるジルコニアでは未だ検証されていないことから、今回も研究実績のある市販されている部分安定化ジルコニアを用いて検証をした。 一般的に、同一条件下でスパッタをした際のスパッタの膜厚は時間に比例することから、今回も前回報告した条件を基準(スパッタ処理時間:8時間)に、1/2(スパッタ処理時間:4時間)の条件に関してを検証を進めた。検証は前回報告した条件と同様に、市販4-META/MMA系レジンセメントを用いた圧縮剪断接着試験、電子線マイクロアナライザーを用いた破断後のジルコニア表面への破断面観察および元素分析にて行った。 検証結果は、1)圧縮剪断接着試験より、剪断接着強さに関してスパッタ処理時間が4時間および8時間の条件との間で有意差がなく、また、2)破断面観察および元素分析より、スパッタ処理時間は4時間の条件では一部のレジンセメントとの界面破壊を起こした部位においてメタライズ層が剥離しており、かつ、スパッタ処理時間が8時間の条件と比較し同部位でのチタンのシグナル検出が弱かったことから、強固なメタライズ層の形成がされていないことが再確認された。 以上の結果より、メタライズを応用したチタンスパッタによる新規ジルコニア表面改質法に関して、歯科での臨床に応用するにはスパッタ処理時間は4時間では不十分であることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今まで使用してきたスパッター装置が老朽化により稼働しなくなり、本研究の最重要案件であるジルコニアへのTiスパッターを外部委託しなければならなくなった。このことから、外部委託先の選定、スパッター層の検証および確認をまず行わなければならない。これらの問題が解決した後、改めてスパッタ後のメタライズ層形成時の至適な処理条件の検証を行わなければならないので、当初の研究計画よりも研究の進捗は遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床応用を目的に、1)外部委託機関のスパッタ装置でのメタライズ層の形成に関する検証、および2)スパッタ後のメタライズ層形成時の至適な熱処理条件の検証を進める予定である。 1)に関しては、本学以外の研究機関が所有するスパッタ装置を用いて検証をするため、現在いくつかの研究機関を候補として交渉中である。 また、メタライズ層の膜質および膜厚を評価するに当たり、今後本学が所有する電子線マイクロアナライザー(EPMA)およびX線光電子分光装置(XPS)を用いる予定である。
|