研究課題/領域番号 |
21K10007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
藤澤 政紀 明海大学, 歯学部, 教授 (00209040)
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研究分担者 |
三浦 賞子 明海大学, 歯学部, 准教授 (60431590)
勅使河原 大輔 明海大学, 歯学部, 講師 (70779016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 覚醒時ブラキシズム / 生態学的瞬間評価 / 筋電図 / カットオフ値 / ROC曲線 |
研究開始時の研究の概要 |
覚醒時ブラキシズムの診断基準設定の根拠となる検査方法を確立することを目的として、筋電計により覚醒時の咀嚼筋筋活動を記録するとともに、自身の自覚を正確に記録する手法である生態学的瞬間評価を併用することにより覚醒時ブラキシズムの認識を同時に記録し、両データを照合することにより、覚醒時ブラキシズムの診断基準を設定する根拠データを提示する。
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研究実績の概要 |
覚醒時ブラキシズム(AB: awake bruxism)では検査方法,評価基準など多くの面で未だコンセンサスを得られるには至っていない.ABの筋電図検査では筋電図波形と実際のブラキシズム現象がどの程度一致するかといった点にも検証の余地がある.そこで,本研究では筋電計により覚醒時の咀嚼筋筋活動およびブラキシズム現象の生態学的瞬間評価(EMA: ecological momentary assessment)を同時に記録し,両データを照合しABに対する筋電図の特徴を検討した.実験概要に同意した104名を被験者として選択し,ブラキシズム(BR)群とコントロール(CO)群に分類し以下の実験を行った.データログ式ワイヤレス筋電計を用いて食事を含む日中5時間の筋電図測定を行うとともに,ランダムな間隔でアラーム(15回/5h)を発生するよう設定したタブレット端末を被験者に携帯させ,アラーム発生時のABの自覚の有無を入力しEMA記録を行った.EMAと筋電図波形より感度と特異度を算出し,受信者動作特性(ROC: receiver operating characteristic)曲線を求めた.最大咬みしめ時の筋活動量(MVC: maximum voluntary contraction)を100 %とし,相対値で評価した.判別分析の結果よりEMAにおけるABの自覚が4回以上で解析する妥当性が得られた.筋活動量と筋活動持続時間を組合せたパラメータをEMAの結果と組合せ,BR群とCO群を識別できるカットオフ値を求めた.その結果,20%MVC持続時間 1 s以上のイベントでROC曲線下面積 0.77,カットオフ値が 3.2 回/hであった.この値がABのスクリーニング判定基準候補と考えられる.本研究はEMAと筋電図を組合せて評価した初めての報告であり,本結果から組合せた評価の有効性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画立案時に予定していた100名を超える104名の被検者が集まり、順調にデータ記録を終えた。装置脱離などの理由で4名のデータが脱落したが、100名のデータ解析がほぼ終了し、その結果を国内の関連する専門学会で数回発表し、類似研究を行っている研究者と有意義な意見交換を行い考察を深めることができた。この間、統計処理を独立性の検定、多重比較、重回帰分析、等を試行錯誤し、最終的に判別分析とROC曲線下面積によるカットオフ値の設定を行うこととした。今後、追加データの要否を確認し、国際誌での発表準備を進めている。このように概ね順調に進捗しており、設定した3年間の研究期間でまとめることが可能と考えられるため、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
被験者104名のデータ解析がほぼ終了していることから、論文完成に向け、関連する専門分野の研究者の意見を伺いながら、統計手法を再度検討し、必要であれば追加データをとり、成果をまとめる予定である。本研究のゴールとして、日中の覚醒時ブラキシズムを診断するための筋電図検査からカットオフ値を提案することであるため、その根拠を明確にかつ丁寧に説明する論調で論文を完成させたい。今回は、本研究に関連した内容の研究報告が多くみられるJournal of Prosthodontic Researchへの掲載を目指す。また、今回の結果を基に、覚醒時ブラキシズム評価の基準を提案し、日常臨床で実施可能な検査方法としての確立を目指したい。
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