研究課題/領域番号 |
21K10030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
三浦 直 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (10266570)
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研究分担者 |
小田 由香里 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20778518)
志澤 泰彦 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30413131)
塚越 絵里 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 任期付研究員 (60615384)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | サツマイモ / 歯周病原性細菌 / 歯周病予防 / Porphyromonas gingivalis / 齲蝕原性細菌 / Streptococcus mutans / デンタルプラーク / 齲蝕予防 / う蝕原性細菌 / う蝕予防 / う蝕 / 代替甘味料 / P. gingivalis |
研究開始時の研究の概要 |
歯科の研究領域では、現在のところサツマイモを材料とした研究はない。 ヒトに対するう蝕予防効果や歯周病の発生を予防でき、低コストで、人体に対して無害で使用回数にも制限がないような天然物由来の物質が、口腔ケア組成物として望まれている。 そこで本研究課題では、普段の食生活で利用している国産サツマイモに着目し、口腔ケアとりわけ歯周病予防の応用につながる物質を探索し、その成分を特定することを目的としている。 現段階では歯周病原菌に対する増殖抑制の効果を示す、活性成分を探索し、これを特定することを目標としている。
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研究実績の概要 |
サツマイモは準完全食と言われる栄養豊富食物で、栄養摂取の観点が重要視されてきたが、歯科領域の研究ではこれを利用し発表されたものは現在まで皆無である。サツマイモの煮汁から得られる液体画分に、口腔内2大感染症と言われる齲蝕と歯周病について、原因とされる細菌に見られる現象を抑制する活性が見出されたので、この詳細を明らかにする目的で研究を開始している。 国産サツマイモを1時間蒸煮し、水を加えてスラリー化した後、しばらく加温し圧搾した水溶液をさらに2時間以上煮詰めるとシロップ状の高粘度の液体となった。この画分には、齲蝕原性細菌が作ると言われるデンタルプラークの形成を抑制する活性があることを発見したが、その活性の本体について詳細を探るべく、有機溶媒を用いたクロマトグラフィを繰り返し、ほぼ単一の化合物まで精製を行うことができた。 さらに齲蝕とともに2大口腔内感染症と言われる歯周病についても、その原因とされる細菌にも同様に歯周病予防効果がある可能性の発想を得て、その実体の詳細について検討を並行して進めている。後者の活性については、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの菌液に上記画分を一部添加し、37℃嫌気培養を行うと、当該細菌の増殖を直接抑制するというものであった。この増殖抑制活性は、濃度依存的であり、複数の品種で同様の活性が認められたので、サツマイモに普遍的に存在する物質であると考えている。この活性画分から活性の本体を精製すべく、各種クロマトグラフィによる活性成分の同定を進めている途上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯科の口腔内2大感染症に対するサツマイモ成分の効果的抑制活性について、その実体を明らかにするべく実験を継続しているが、今年度はそのうちの齲蝕原性細菌によるプラーク形成の抑制活性については、予定通りその本体を精製する方向で進めている。精製標品に近い状態まで到達したところである。 想定した作業仮説は実験で確認して正しいことが判明した。従って今年度の進捗状況については、想定通りの展開になったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度で、口腔内2大感染症のうち、齲蝕に関しては、サツマイモが有する特異的成分が、プラーク形成を抑制する活性をもつことが判明し、その成分特定を進め、ほぼ精製完了まで到達した。もう一つの活性である、歯周病原性細菌に対する増殖抑制活性についても、同様にこの活性の本体を突き止めるべく、精製過程を検討中である。
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