研究課題/領域番号 |
21K10031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
横山 愛 日本大学, 松戸歯学部, 専任講師 (70610252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 唾液腺 / 機能回復 / Mist1 / アミラーゼ / 唾液分泌量 / 導管結紮 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者は唾液分泌量が減少するので、しばしば口腔乾燥症がみられる。腺房細胞は唾液を産生する重要な細胞であり、加齢変化としては腺房細胞が著しく萎縮する。実験動物において、腺房細胞の萎縮は唾液腺への放射線照射や排泄導管の結紮など、唾液腺への傷害で観察される。しかし、傷害が軽度な場合や傷害を取り除くと、萎縮していた腺房細胞が回復する現象が観察される。この現象に注目し、本研究では唾液腺傷害モデルマウスを作製し腺房細胞を萎縮させ、傷害を解除後に回復する腺房細胞の遺伝子発現変化を検索することで回復メカニズムを明らかにし、萎縮した腺房細胞を回復させる因子を同定する。
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研究実績の概要 |
唾液分泌量が減少する口腔乾燥症(ドライマウス)は高齢者や女性に多く見られる症状である。唾液の分泌量が減少する理由は種々あるが、その1つとして唾液を産生する腺房細胞が委縮し腺房細胞数が減少することがある。げっ歯類において、腺房細胞の萎縮は放射線照射や唾液腺排泄導管の結紮などの唾液腺への傷害で観察することができる。放射線照射と導管結紮ともに、傷害が軽度であれば傷害を取り除いた後に萎縮していた腺房細胞が回復することが報告されている。本研究では耳下腺排泄導管結紮法を用いた唾液腺傷害モデルマウスを作製し、マイクロクリップによる導管結紮を傷害とし、腺房細胞を萎縮させる。傷害を解除後に回復する腺房細胞の遺伝子発現を観察することで回復メカニズムを明らかにし、萎縮した腺房細胞を回復させる因子を検索することで、口腔乾燥症の改善に役立てたい。 本年度は、マイクロアレイ解析のためのサンプルを採取する時期の決定を行った。マウスの片側耳下腺排泄導管をマイクロクリップにて結紮し、7日後にクリップの開放を行った。続いて、マイクロクリップ解放後1日目から14日目までの耳下腺サンプルを回収した。タンパク質を抽出後にタンパク質濃度を測定し、腺房細胞の分化過程で重要な役割を果たすMist1の発現量を検索した。結紮開放後1日目と2日目、2日目と3日目のように連続する2日間でMist1の発現量の変化を比較した。結紮開放後1日目から14日目の14日間で最も発現量に変化があったのは、3日目と4日目であった。Mist1がこの時期に有意に増加していることから、細胞分化に関わる因子がその時期に増加していることが推察される。従って、導管結紮開放後3日目と4日目の耳下腺サンプルをアレイ解析に使用すると決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目標はDNAマイクロアレイの解析が終了していることであった。しかし、本年度中にマイクロアレイ解析を終了することができなかったため、やや遅れていると判断した。理由としては、初年度にマイクロアレイのサンプルを回収する時期を決定する方法が上手く行かず、回復の指標を決めるのに時間を要したからである。回復の程度を検討すつために唾液分泌量の測定を試みたが、耳下腺排泄導管からのみの唾液分泌量を測定することが非常に困難であり、上手くいかなかった。前年度に回復の指標をアミラーゼに変更し、アミラーゼの発現量が排泄導管結紮開放後14日間には元の量に戻ることが確認できた。従って本年度では、マウスの耳下腺排泄導管の結紮を7日間行った後に結紮を開放し、開放後1日目から14日目までのサンプルを回収後、タンパク質の抽出を行い、腺房細胞分化過程で重要な役割を果たすMist1の発現量を比較検討した。Mist1の発現量が最も増加している日にちをサンプル回収の時期とすることとし、本年度にサンプル回収の時期を決定することができた。やや遅れているが確実に実験を進められている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、研究計画調書に沿って研究を進めていく。片側耳下腺排泄導管を結紮し7日目に結紮の開放を行う。結紮開放後3日目の耳下腺と4日目の耳下腺を各4サンプルずつ準備しmRNAの抽出した後、マイクロアレイ解析を行う。3日目をコントロールとして3日目と4日目の遺伝子発現量の変化を検討し2倍以上遺伝子発現量が増加している遺伝子に注目し、Gene Ontology解析やPathway解析なども合わせて、総合的に唾液腺回復因子の候補を決定する。その後、遺伝子発現量、タンパク質発現量の確認を行った後に、回復因子の作用の検討をin vitro、およびin vivoで行う予定である。
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