研究課題/領域番号 |
21K10051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
宮本 郁也 岩手医科大学, 歯学部, 特任教授 (50402912)
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研究分担者 |
小笠原 正人 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00325367)
川井 忠 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50547263)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 放射線性骨髄炎 / 放射線性骨壊死 / 骨硬化 / 骨吸収 / 画像診断 / 軟組織損傷 / 薬物治療 / ペントキシフィリン / トコフェロール |
研究開始時の研究の概要 |
①当大学附属病院における顎骨放射線性骨髄炎罹患状況を臨床研究として施行する。 ②放射線性骨髄炎のモデル動物(ウサギ)を作成し、ペントキシフィリンとトコフェロールを投与し、組織形態学的に解析する。 ③新たな放射線性骨髄炎の保存治療法として、薬物治療(ペントキシフィリン、トコフェロール)の臨床治験を準備する。
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研究実績の概要 |
当科における放射線性骨髄炎(ORN)の患者を後ろ向きに解析した。さまざまな画像モダリティを総合し、臨床的検討を行った。症例は、口腔癌と中咽頭癌が症例の多くを占めた。画像はCT、MRI、PET/CT、SPECTを用いた。放射線治療により硬組織、軟組織ともに損傷を受け、その程度は臨床症状と相関した。放射線治療が長期間経過しても、壊死した骨髄や骨組織は基本的に治癒しないようであった。照射野の骨髄は硬化性変化を示すものが多く、抜歯などの侵襲的な刺激で骨吸収した。慢性的な開口障害や病的骨折は、ORNで起こる最終的な症状だった。腫瘍の再発は、鑑別が困難だった。ORNの診断は様々な画像情報と臨床症状を総合的に考慮する必要があることが分かった。 現在、口腔癌と咽頭癌の症例に焦点を当て、その臨床的な違いを検討している。口腔癌の放射線治療は、術後の補助療法として行われることが多い。一方、咽頭癌の治療では、根治照射として放射線治療が多く用いられている。当科を受診した口腔癌または咽頭癌の既往があるORN症例44例(口腔癌25例,咽頭癌19例)について検討をおこなった。 性別は、男性に多く、発症部位は下顎骨に多かった。ORN発症までの期間は、口腔癌で平均42.7か月、一方咽頭癌で平均63.3か月であった。ORN発症の契機は、抜歯7例、歯周炎10例、骨露出20例、その他2例、不明6例であった。口腔癌ではORN発症後、症状が増悪したものは認めなかった。一方、咽頭癌症例ではORNが発症した場合、ORNのステージが増悪したものを認めた。口腔癌と咽頭癌では照射野が異なり、咽頭癌症例ではORNを発症すると下顎頭まで炎症が波及し、制御が困難となる事があった。 これらの結果から、咽頭癌におけるORNは壊死骨や周囲軟組織の壊死組織の範囲が大きく、感染症状が発現した場合、制御が困難となる事例があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射線性骨髄炎(ORN)に関して、臨床的研究に関しての進捗状況は問題なく進行している。画像診断によってORNの特徴が分かってきた。ORNは、骨組織だけでなく周囲の軟組織も大きく損傷されている。軟組織の慢性炎症が、開口障害など重篤な症状の原因になっている。また、咽頭癌と口腔癌のORNにおける臨床堤な挙動の違いが明らかになりつつある。このことは今後の症例を検討していくうえで重要な知見になると思われる。 一方、モデル動物を作成する必要がある。コントロールとしてのラットもしくはウサギでの実験に関しては、我々の施設でも可能である。しかし、放射線照射ができる施設が見つからない状況が続いている。以前、実験動物に放射線を照射していた施設に関しても現在はおこなっていない状況であったり、放射線の照射方法が異なっていたりするため、実験計画が立てられない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的検討に関しては、このまま症例を継続的に増やして臨床的検討を継続する。特に、咽頭癌と口腔癌の特徴の違いを明らかにしたいと考えている。結果がまとまった時点で、論文作成を開始する。 また、放射線照射を実験動物に行うことができる施設を国内外を含めて探し、適切な実験が可能か確認する。 放射線照射を動物実験として検討できない場合は、in vitroでの実験に切り替える必要があるかもしれない。
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