研究課題/領域番号 |
21K10055
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
|
研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
片倉 伸郎 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (20185804)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | NMDA / 舌下神経運動ニューロン / スライスパッチクランプ / ギャップ結合 / グリア細胞 / propofol / ニューロン-グリア連関 / 鎮静法 / 遺伝子組換えラット / GFP / 気道開通性 |
研究開始時の研究の概要 |
①上気道で咽頭前壁を構成する舌の緊張度を保つために、中枢神経がどのように神経活動を制御しているかを解明するのが目的である。 ②摘出した脳標本を用いて、舌下神経運動ニューロンとその周囲にあるグリア細胞の活動を計測する。 ③計測には、電気現象(活動電位)変化の測定と光学測定法の2つを利用する。 ④薬物投与、光学的刺激、あるいは電気刺激によってニューロン活動を増加させ、鎮静薬等の投与によって生じるニューロン活動の低下を『ニューロンとグリア細胞の連関』という機能的単位で解析する。 ⑤解析によって舌下神経運動ニューロン活動の維持に必要な条件を見出し、咽頭前壁の緊張度が低下して生じる舌根沈下を防ぐ方法を見出す。
|
研究実績の概要 |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群で起こる舌根沈下は、覚醒時よりも意識レベルの低い静脈内鎮静法でもしばしば観察される。呼吸筋の活動が維持されているにも関わらず、気道の維持に関わる舌筋群の緊張が低下するという特徴な筋活動の乖離があることが、その原因と考えられる。本研究は、このような舌根沈下の原因が、①呼吸筋群を動かす運動ニューロン群と、②気道維持に働く筋群を動かす運動ニューロン群との間に活動度の差異があるためとの仮説を設定し、気道開通という重要な役割を果たす舌筋群の緊張度を制御する舌下神経運動ニューロンの活動性を維持する機序と、その機序が低下する条件を、ニューロンだけではなく周囲を取り巻くグリア細胞群を加えた『ニューロン-グリア連関』で解析することを目的としている。 本年度は、これまでの研究で得られたデータから、舌下神経運動ニューロン(XIIm)のNMDA誘発活動のリズム膜電位変動(RMC)と 重畳する群発発火活動に対する ①tetrodotoxin (TTX) 投与、② carbenoxolone (CBX) 投与、③TTXおよびCBXの連続投与あるいは同時投与の効果を解析した。 ①/③:TTX投与から、AP発生が抑制されているにも関わらずNMDA投与でRMCを生成するXIImが存在することが分かった。これらのXIImに対してCBXを投与すると半数以上でRMCが漸減した。これらの結果は、NMDAによってXIIm自身がRMCを生成する可能性と、それをギャップ結合(GJ)を経由してXIIm間、あるいはグリア細胞を間に挟んで伝搬させていることを示唆している。②:CBX投与では、全例でAP残存が確認されたが、RMCの消失/減弱のあるXIImが観察された。これは前述したギャップ結合(GJ)を経由したXIIm間、あるいはグリア細胞を間に挟んでのリズム活動伝搬を行っている可能性を支持するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳幹スライス標本を用いてXIImからパッチクランプ法によって、多くのXIImから記録を行った上で種々の薬物を投与してリズム活動に対する薬理学的効果を観察した。加えて、propofol投与による扁桃体ニューロンの活動性変化から、静脈内鎮静法で用いる同薬剤のニューロン活動に対する効果を検証し、今後の研究遂行の方向性を示すことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の実験結果と解析作業から、NMDAで誘発されるXIImのリズム活動がTTXおよびCBXに対する応答特性によって複数のグループに分けられることが判明したので、それぞれのグループに所属するXIImの発生させるAPの特性に異なる点が見出せるかを phase plane plot を 中心とした手法で解析を深め、どのような条件がXIImの活動性の増減に結びつき、それがGJとどのように関わるのかを検証していく。
|