研究課題/領域番号 |
21K10058
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
森田 浩光 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (30380463)
|
研究分担者 |
吉住 潤子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40596376)
吉本 尚平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70780188)
松崎 英津子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (20432924)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | エナメル上皮腫 / アポトーシス / スフェロイド / benzbromarone / 細胞死 / 尿酸値 |
研究開始時の研究の概要 |
若年者に多く発症する歯原性腫瘍であるエナメル上皮腫は、治療薬がなく再発や悪性化をきたすなどの理由から外科的治療が主体となっている。これまで国内外において、多くの研究が行われ、治療薬の検索が試みられているが、未だに実用化に至っていない。このような状況のもと、我々は、痛風治療薬であるbenzbromaroneの投与により、エナメル上皮腫細胞が細胞死を引き起こすことを発見した。 本研究では、すでに痛風治療薬として臨床応用されているbenzbromaroneがエナメル上皮腫を細胞死に導くメカニズムを解明し、新たな保存的治療として薬物療法の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エナメル上皮腫に対するbenzbromaroneによる細胞死の作用機序をin vitro(遺伝子レベル、細胞レベルおよび組織レベル)およびin vivo(ヌードマウスへのオルガノイド移植による生体内での効果)で解明することである。これまでの研究遂行により以下の成果を得た。 1. エナメル上皮腫細胞を用いたbenzbromaroneによる細胞死についての基礎医学的検討:エナメル上皮腫細胞(AM-1)でのbenzbromarone受容は、尿酸トランスポーターの一種であるSLC2A9を介したものと考えていたが、その後の研究により、併せて細胞増殖に関与すると考えられているEYA(eyes absent family遺伝子)も関与しているが高いと考えられた。一方、AM-1を基に作製したオルガノイド(スフェロイド)に対してbenzbromarone投与により、caspase3の活性化を伴 うアポトーシスが引き起こされることが明らかとなった。 2. 病理切片を用いたbenzbromaroneが作用する受容体の病理組織学的検討:エナメル上皮腫の病理切片にRNA染色にて発現解析を行った結果、SLC2A9およびEYA-1が高発現していることが明らかとなった。 3. Visiumによる空間的遺伝子発現:エナメル上皮腫を用いてEYA1-4の発現について調査したところ、組織内にEYA-1, 2, 3の発現が認められた。 4. エナメル上皮種患者8名、健常者20名から唾液提供を受け、唾液中尿酸値の比較およびエナメル上皮腫のマーカー検索を行った。尿酸値はエナメル上皮腫患者が高い傾向を示した。一方、miRNAに関しては引き続き調査・解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響で、研究時間の縮小や学生講義対応に追われ、実験遂行の時間を確保できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
1. エナメル上皮腫細胞を用いたbenzbromaroneによる細胞死についての基礎医学的検討:エナメル上皮腫細胞(AM-1)における細胞増殖へのSLC2A9およびEYA(eyes absent family遺伝子)の関与及びサブタイプの特定、またbenzbromarone投与によるcaspase3の活性化を伴うアポトーシスの詳細について調査する。 2. 病理切片を用いたbenzbromaroneが作用する受容体の病理組織学的検討:エナメル上皮腫によるEYAのサブタイプ同定と病理組織内分布について検討する。 3. ヌードマウスへのオルガノイド移植によるin vivo研究:ヌードマウスの頭頂部皮下にAM-1により作製したスフェロイドを移植し、benzbromaroneの生体内投与での効果を観察する。 以上の結果に基づき、次年度も継続してbenzbromaroneが作用する受容体の特定と細胞死の際に働く細胞内シグナル伝達の全容および細胞増殖に対する尿酸の関与について明らかにする。 4. エナメル上皮腫患者および健常者の唾液中EYA関連miRNAの調査を行い、エナメル上皮種のマーカー検索を行う。
|