研究課題/領域番号 |
21K10067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 陽 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80772425)
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研究分担者 |
渡邊 純奈 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00877102)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / 幹細胞 / 細胞老化 / 唾液腺 / 組織再生 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの体には不完全ながら修復・再生能力が備わっている。しかしながら失った組織や臓器が修復・再生されることはほとんどない。頭頸部がんにおける放射線治療において放射線暴露組織が損傷(炎症、酸化ストレス、細胞老化、細胞死など)していく過程で歯髄幹細胞由来細胞外小胞(DPSC-EVs)が唾液腺幹細胞・前駆細胞の再生・修復に関与し、幹細胞・前駆細胞における抗放射線誘発損傷に関わっている可能性が考えられる。そこで本研究では、①DPSC-EVsの抗放射線誘発損傷機構の解明、②細胞外小胞が損傷細胞に与える影響の解明、③DPSC-EVsを用いた放射線性唾液腺萎縮モデルマウスに対する損傷組織再生法の開発する。
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研究実績の概要 |
唾液腺機能障害は、シェーグレン症候群、唾液腺腫瘍、放射線療法、頭頸部化学療法などにより生じる。耳下腺や顎下腺に炎症が生じ、腺が収縮する重度の口腔乾燥症では、咀嚼、嚥下、発声、味覚などのプロセスに直接影響を与え、QOLが損なわれることがある。 これらの問題を解決するために、歯髄幹細胞(DPSC)由来の細胞外小胞(EV)の有効性を、細胞の老化に着目して放射線障害唾液腺モデルマウスで検討した。結果と考察:DPSC-EVは約100nmの粒度分布を示し、CD63、CD9、CD81を発現していた。顎下腺の形態を評価した結果、DPSC-EVs投与により照射マウスの顎下腺の大きさが偽薬群と同程度に回復したことが確認された。さらに、SODアッセイによると、IR-PBS群はIR-DPSC-EVs群より低い値を示した。免疫蛍光染色では、IRPBS群に対してIR-DPSC-EVs群では老化関連β-ガラクトシダーゼ(SAβgal)およびp-H2AX陽性細胞の割合が低いことが示された。さらに、qRT-PCRにより、老化関連遺伝子p21、p53、p16、およびMmp3、IL-6、MCP-1などの老化関連分泌表現型(SASP)因子がIR-PBS群に比べダウンレギュレートしていることが明らかとなった。これらの結果は、DPSC-EVsが照射によって誘発される唾液腺の炎症性サイトカインを減少させ、唾液上皮細胞の周囲に生成される有益でない高酸素の微小環境を逆転させ、照射による老化を防止することを示すものであった。この研究成果は、英字論文雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communication」に掲載された。現在はさらに発展した研究をしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文投稿まで完了し,さらに発展した研究をしているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は幹細胞由来細胞外小胞による細胞老化の予防や老化細胞の新規除去法の開発をすることで社会貢献できればと考えている。
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